解けない愛鎖


「今頃になって、そんな泣きそうな顔しないでよ。手放したこと、後悔しそうじゃん」

ヒロキがあたしの頬に手をあてて、切なげに笑う。


「してよ。後悔……そのつもりであたしは────」

苦しい、切ない愛しさが喉の奥に詰まる。


「ごめんね。リナが一番に望むものをあげられなくて」

泣き出しそうなあたしに、ヒロキが世界で一番優しくて残酷なキスを落とした。


「今の彼女とは日本を発つ前に別れるつもり。だけどリナの記憶だけはどうしても持って行きたくて。この先もたぶん、俺が一番好きだと思うのはリナだから」

あたしを連れて行く気はないくせに、甘い声で一生消えないような殺し文句を残していこうとするヒロキはずるい。


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