解けない愛鎖

「あたしは────、今の彼と結婚して、幸せになって……ヒロキのことなんて、あっという間に忘れてやるんだから」

「それでいいよ。それでもし、来世で巡り会えたら。そのときはリナが、俺が逃げられないようにしっかりつかまえててよ」

目を細めて艶やかに微笑みながら、ヒロキがあたしに甘くて苦しい呪いをかける。

あたしの心を知っていて。永遠に解けない鎖を巻き付けていく。

あたしが人生で一番に愛した男は、ほんとうに、最後の最後までずるい。


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