路地裏の唄

月夜のクラゲと夢見鳥

寝静まる街。


シルエットとして突き出る建物の一角、月をバックにしたそこには二つの人影。




「…いたよ。100メートル先あたりに三体」


静かに空気を震わせたのは隣より若干背の高い、華奢な体つきの少年の声。


「報告通りだね」


応えたのは隣のしっかりと芯の通った少女の声。


「どうも民間人が近くにいそうだ。
気をつけて」


少年の「プログラム」と言う呟きに呼応して少女の拳をグローブのようなエネルギー体が包み込む。


少女の影はその両手を肩の高さまで上げ、動きを確認するように軽く数回、手を握っては開く。

やがて、前を見たのであろう。
影の少女は強く拳を握る。





「…よし!
行くよっクシナ!」

「りょーかい」







建物のシルエットにいち早く少女の影が飛び込み、続けて少年の影も姿を消した。






































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