路地裏の唄
もう一人は金髪金眼で巫女装束をベースにしたような格好の女の子で、朱いプリーツの入ったミニスカートに茶色のブーツ。
白い肩の部分が切れていて、緩く朱い紐で繋がる着物のような衿のある服だが、袖はふんわりと膨らむ布を手首の部分を肩にある物と同質の紐ですぼめてある。
豊かな金髪を頭頂部で纏めそれらは左右に別れたっぷりと内側に流れて目元付近の輪郭を囲み、縦に割れた瞳孔の金眼は大きいが吊り気味で狐を想起させた。


一目で『オカルト』の方面に関係のある組み合わせだとわかる。

『オカルト』とは古来より数式や科学によって進化を遂げて来たとされるこの世界を覆そうとするかのような新しい理念に関する事柄を総称するもので、惑星の衝突やプランクトンの進化から生まれたとされるこの世界は、そうではなく『神』や『仏』のような万能の創始者によって構成されたという、不可視の存在を主張したようなもので、歴史は浅いがいくらかカテゴリが存在するらしく、そういった各々の信じる対象を崇める集団と世間的には捉えられている。

あまり大衆には浸透していない謎の多い方面であるわけで、律もせいぜいがその手の人達くらいにしか認識が出来ない。


すると、男の方が律と原十郎を見つけるなりどかどかと大股で近づいて来た。
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