路地裏の唄
「すっごいね!
分子を消滅させちゃった!」



突然降ってきた頭上の方からの声にビクリと肩を揺らし見上げると、ちょうど月を背景に二人分の人影が建物の上から降りて来た所だった。






「ね、今のどうやってやったの?
もしかしてキミもケータイ?」




地に足をつけるなり駆け寄って来たのは活発そうな女子高生。


「彼は人だよアガタ。
ソフトを展開するために何かしたわけでもなさそうだ」



そう言って原十郎と分子の居た所に触れている青年が淡々と言う。







二人とも学生服を着ている。
アガタと呼ばれた少女の方はブラウスの上に紺色のチョゴリに似た上着を着ているが、それを除いたところで特に変わった恰好ではない、それこそこんな所にいる事に違和感のある組み合わせだった。
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