王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
第4話『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。

1『年上の女』

「なぁ。連休とかありがたがる日が、おれらにもいつか来るんだよな」
 火、木定休で土日もパートで働くおふくろの代わりに、おやじがのさばる週末。
 おれも虎も受験生という身分を得たこの二学期は、代打主婦だった虎が堂々とお役御免宣言をしたせいで、おれにとんでもないとばっちりが来た。
 家事はなにひとつできないおやじが、おふくろの罵倒から逃れるための手段としてひねり出した役職、おれの監視。
 土曜の午後はもはや投獄日。
 日曜の夜、家族それぞれが翌日の準備に入るまで、おれは自室に軟禁される。
 おふくろは、おれが終日家にいたと報告されれば安心するらしいが、居間におやじがいるくらいで自主的に参考書を広げる18歳がいるだろうか、いやいない。
 いるのか?
 ……いるかもしれんな。
 現に虎之介は黙々と頭に知識を詰めこむ真面目な受験生だし。
 町田も受験生と言う立場になれば、くそ真面目に勉学に励みそうだ。
 いまや木村も正統派お受験戦士なのかもしれんし…さ。

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