王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
 ちっとばかし頭がよければ、建前と社交辞令で世の中はスイスイ渡っていける。
 みんな、そんなもんだと思っていた。
 でも…な。
「町田。おれはおまえになにがしてやれるかな。おまえだけでも王女さんを追いかけろ。あのおばさんと仲良くなる方法くらいは、おれも考えてやる」
「…………」
 なんだ、そのひとを責める目は。
 グラスごしでもわかるぞ、このやろう。
「守護霊さまの引越しなんて、聞いたことありません。加藤さんが考えるべきなのは、ご自分のことです」
「守護霊?」
 王女さんが?
 町田がうなずく。
「おれ、いろいろ勉強はしましたけど。半分は自分を慰めるためみたいなもんだったので、便宜的に加藤さんにもわかるようにと思って使いましたけど……」
「守護ってつまり……、おれは王女さんに守られていた、と?」
「王女さまがいなくなったらどうなるかってことは、今回、加藤さんだってよくわかったでしょ」
 わかったってなにをだよ。
 ふてくされたおれの気持ちなんてお見通しの町田がため息をつく。
「王女さまがいないと、加藤さんて人並みはずれて災厄にまきこまれるひとだってことをです」
「…………」
「…………」
「…………」
 おれの気持ちを今度も町田は正確に察した。
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