王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
 頭をよぎるのは
『王女さま、退屈そうです』という町田のひとこと。
 町田を(いや)し、虎のところまで運んでくれたのは、いわば親心みたいなもんなんだろう?
 五十嵐や木村が楽になれたのは、おまけみたいなもんなんだろうし。
 おまけだったんだから、もう引っこんでりゃいいじゃんか。
 退屈だから人助け? 
 ありえん。

 ひと休みのはずが、ふたやすみ、みやすみ。
 あっというまに立ち上がりたくなくなる無精者。
 それでも空腹に負けて。
「どっせーぃ!」
 野太い掛け声とともに立ち上がり。
 へたに体重をかけると歩道の石畳のすきまに刺さる、ウルトラC技を披露してくれる杖と3足歩行。
「うわっ」
 蹴つまずいてたたらを踏んだとたん
「あららら、だいじょうぶ?」
「だっ。だいじょぶ…す」
 女性に声をかけられて。
 驚いたなんてもんじゃない。
「よかった」
 なにしろ、にっこり笑って行き過ぎたのは――ターゲット?
 ベージュ色のサマーコートの下から店の制服のスカートがのぞいている、間違いない。
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