王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
 子猫たちはすかさず食いついた。
 しかたない。
 飢えている猫に、脂質がー、糖質がー、講義する時間はない。
 許せ。
 杖の先でハンバーガーをはじき飛ばす実力行使。
 フミャー フミャー
 子猫たちは鼻先から消えたご馳走を探すように地面を嗅ぎまわる。
 唖然とおれを見上げた女の目からぽろっと涙が落ちて。
 あっと思ったときにはおれは走り去る女の背中を見送っていた。
「ぁっ、ちゃぁあああ」

 やっちまった。
 せっかく虎がこれからがんばってくれるのに。
 王女さんのお気に入りを泣かしちまった。

 じ えんど おぶ まいらいふ?

 なにしろ王女さんがいなくなったら、おれはまともに道も歩けないらしいのに。
 怒らせたらどうなるかなんて、考えるまでもない。
 ンミャア ミャア
「……はいはい。待ってろって」
 いまバンズだけ千切ってやるから。
 おまえらは、野垂れ死んでも化けて出るなよ。
 どうせ、おれは見えねえからな。


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