王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
ンナァ ンナァ
バッグの中で毛玉が暴れだした。
「おとなしくしろって」
もう杖はめんどうなので、ズリズリ足を引きずって歩き出しながらバッグの中をのぞきこむと、毛玉がおれの教科書を爪でザリザリと引っかいていた。
「おーい。勉強するふりはしてんだからさぁ。教科書を傷物にするのはやめてくれよ」
「いったい、どんな手を使ったんです」
はぁぁ?
声に顔を上げると町田がいた。
迫りくる負の感情から己を守る町田の唯一の防具、爆音で心を異世界に飛ばすごついヘッドフォンを肩にのせて。
「とんちゃんを見守らなきゃ、と思って。張ってたら加藤さんは来るし。あのひとは飛び出して行っちゃうし」
「ばかか、おまえ。そんなことのために、こんな街中に何時間もいたのか!」
「王女さまの機嫌をそこねると、加藤さん本当に危ないですから」
危ないのはどっちだ。
おれですらもう、何度もおまえがぶっ倒れるのを見てるのに。
無茶しやがって。
バッグの中で毛玉が暴れだした。
「おとなしくしろって」
もう杖はめんどうなので、ズリズリ足を引きずって歩き出しながらバッグの中をのぞきこむと、毛玉がおれの教科書を爪でザリザリと引っかいていた。
「おーい。勉強するふりはしてんだからさぁ。教科書を傷物にするのはやめてくれよ」
「いったい、どんな手を使ったんです」
はぁぁ?
声に顔を上げると町田がいた。
迫りくる負の感情から己を守る町田の唯一の防具、爆音で心を異世界に飛ばすごついヘッドフォンを肩にのせて。
「とんちゃんを見守らなきゃ、と思って。張ってたら加藤さんは来るし。あのひとは飛び出して行っちゃうし」
「ばかか、おまえ。そんなことのために、こんな街中に何時間もいたのか!」
「王女さまの機嫌をそこねると、加藤さん本当に危ないですから」
危ないのはどっちだ。
おれですらもう、何度もおまえがぶっ倒れるのを見てるのに。
無茶しやがって。