王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
「あのな、心配してくれるのはありがたいけど。王女さんの思ってるようにはならねぇぞ。平泉さんは良いひとだ。だからって友だちとか無理。なんにしろおれは今日で終わりだ」
 町田は笑った。くすくすと。
「そうですか? その猫たちによそ見してても転ばないし。さっきの交差点でも誰にもぶつかってませんでしたよね?」
 はぁ?
「加藤さんがお店に来る前から、王女さま、ご機嫌でしたよ? おれ、手を振られちゃいましたもん。いったいなにしたんです、加藤さん」
 いや、なんもしてねぇし。
 …ってか、え? え? え?
「いるの?」
「はい。お戻りです」
 はぁぁあああああ?



「あ。加藤くーん」
「…っす」
 校門で平泉さんを待つ係にされたおれは、すでに英単語帳を50枚はめくっていた。
 電話して止めた虎は『なーんだ、がっかり』と笑ったけど。
『聞かせてくれるよね?』と続けた声は真剣だったので、そうすると約束はした。
 おれが話せることなんて
 兄ちゃんな、なんか憑いてるんだってさ。以上。
 だけどな。
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