王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
5『おれの子』
「あたしたち夫婦はね、ずっと子どもがほしかったんだけど、だめで――。ココが息子みたいなものだったの」
「――いくつだったんですか、ココくん」
「じゅゅうぅ、にっ」
ああ。おれは本当にひとを泣かす天才だ。
フェンスに背中を預けた平泉さんがまたえぐえぐ泣きだした。
途方にくれるおれのうしろで町田がフェンスをよじ登ってくる気配がする。
本当にあきれた身体能力。
「12年もいっしょに暮らしたら――つらかったですね」
「ぅ…、ぅ…、ぅ…」
ガキみたいにしゃくりあげている平泉さんに、すちゃっと静かに地面に降り立った町田がジーンズの尻ポケットからティッシュを差し出す。
なにからなにまでよくできた男だよ、マジむかつく。
差しだされたティッシュをビニール袋から引っ張り出しながら、平泉さんが「ぁ」と小さく声をあげて足元を見た。
町田が地面に下ろした毛玉たちが平泉さんの足元にじゃれついている。
平泉さんがティッシュで涙をぬぐいながら、泣きぬれた瞳でおれを見た。
「本当に、ココの小さいころ…みたい……」
「――いくつだったんですか、ココくん」
「じゅゅうぅ、にっ」
ああ。おれは本当にひとを泣かす天才だ。
フェンスに背中を預けた平泉さんがまたえぐえぐ泣きだした。
途方にくれるおれのうしろで町田がフェンスをよじ登ってくる気配がする。
本当にあきれた身体能力。
「12年もいっしょに暮らしたら――つらかったですね」
「ぅ…、ぅ…、ぅ…」
ガキみたいにしゃくりあげている平泉さんに、すちゃっと静かに地面に降り立った町田がジーンズの尻ポケットからティッシュを差し出す。
なにからなにまでよくできた男だよ、マジむかつく。
差しだされたティッシュをビニール袋から引っ張り出しながら、平泉さんが「ぁ」と小さく声をあげて足元を見た。
町田が地面に下ろした毛玉たちが平泉さんの足元にじゃれついている。
平泉さんがティッシュで涙をぬぐいながら、泣きぬれた瞳でおれを見た。
「本当に、ココの小さいころ…みたい……」