王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
 そこは黙って引き受けたのに不機嫌なのは隠さないわけね。
 おれには見えない女が見えるからって。
 どんどん態度でかくなってないか、おまえ。
「なんだよ」
 聞いてやるのはもちろん、さらなるいやがらせのためだ。
「男がかわいいとか言われて、気分がいいわけないでしょ」
「え? 喜んだろ? 問題児だけどかわいいって言われてぇ」
「そ…れとは違うでしょ。さっきのは」
 そうだよなぁ。
 見えるんだもんな、おまえには。
 おれの気分も、さ。
「おまえといるとラクだわ。なんにも言わなくても、わかってもらえてぇ」
「…………」
 当然、町田はおれが皮肉を言っているわけではなく、楽しくからかっているのだとわかっているはずだ。
 オーラの色とやらで。
 だからまた、ふぃっとそっぽを向いた。
「わかられちゃうのに、いじわるするとか――信じられない」
「わかりもしねぇでいじめるやつと、どっちがいいよ」
「…………」
 はい終了。
 おれの勝ち。
 そして続きね。
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