パラダイス、虹を見て。
寝る前に、サクラと一言、二言喋って。
すぐに布団に潜り込んだ。
あー、昨日・今日と私の頭はパンクしてしまっている。
落ち込む暇がないくらい、次々と色んな情報が入ってきて。
上手く処理しきれない。
はああ。
死んじゃいたいという気持ちは一体、どこに行ったんだろう。
驚いてばっかりで、ネガティブな感情はどこかに吹っ飛んでいる。
サクラがあんなに強い子だって、知らなかった。
私だったら、自分からすすんで訓練をしようだなんて思わない。
サクラの過去に何があったのかはわからないけど。
ちゃんと目的を見つけて、しっかりと歩き出したことは確かだと思った。
それに比べて私は、流されるがままここへやってきて。
何となく、毎日を過ごしている。
一度、死んだことにされて。新しい人生を与えられたというのに。
結局、私の存在のせいで色んな人間が不幸になっている。
もしかしたら、このままだと。
ヒョウさんも不幸になるのではないか…?
私が此処にいることで、国王に怒られているのではないかと考えると。
ズキズキと頭が痛くなった。
考えるが苦手。
記憶が飛んだり、他のことを考えることで現実逃避してきたけど。
今回は、もう逃げられない。
ため息をついて、起き上がる。
カーテンを引いて、窓の外を眺める。
ふと、暗闇に紛れてヒサメさんが、ぼぉーと立っているのが見えた。
何してるんだろ?
ヒサメさんは何をするわけでもなく、ぼぉーと立っている。
独りで。
さすがに不安になって。
様子を見てこようかという考えが浮かんだ。
そっとベッドから出て、上着を羽織る。
そっと部屋から出た。
暗闇が怖いくせに。
何故か平気だった。
玄関の扉を開けて、外に出てみると。
ヒサメさんの姿はなかった。
「夢…?」
きょろきょろと辺りを見渡すが、やはり人影はない。
身体が勝手に幻覚を映したのだろうか。
いつも苦しいときに助けてくれるヒーロー。
こんな苦しい夜に会えたら嬉しい。
…そんな都合のいいわけないよね。
モヤさんがヒサメさんは夜行性だって言っていたけど。
そんな頻繁に外でウロウロしているわけないよね。
ふぅとため息をついて。
部屋に戻ろうかと思ったけど。
せっかく外に出たんだから、庭園でも行ってみようかという気になった。
ネグリジェの裾が汚れないようにゆっくりと庭園へ向かう。
暗いはずの庭園には照明が設置されていて、ユラユラと蝋燭の火が揺れている。
あまりにも幻想的で、ロマンチックな光景に見とれてしまう。
一体、誰がこんなことをしているのだろう?
「…貴女、独りでここに来たの?」
低い声がしたので、私は思わずその場を飛び跳ねた。
振り返ると、全身黒い服を着たヒサメさんがじっとこっちを見ている。
「驚いた、何でいるんですか?」
「驚いたのはこっち。貴女、独りなの?」
何故か女性のような口調で、ヒサメさんは質問してくる。
その質問を聞いて、まばたきをした後、「あ!」と思わず大声が出てしまった。
「あ、ごめんなさい」
この前は混乱して走って、立ち入り禁止のところへ侵入してしまい。
ヒサメさんやモヤさんに迷惑をかけたばかりだというのに。
勝手に庭園に来てはまずかったという事実を今頃になって知ってしまう。
「ごめんなさい。ヒサメさん。戻ります」
ぺこりと頭を下げると。
「独りになりたいんだったら、別にいいけど。ただ、俺は遠くで見張らせてもらうからね。夜になると、向こうの護衛がこっちに来ることもあるからさ」
と、怒ったような声で言われてしまう。
ヒサメさんが背を向けて、どこかへ行ってしまいそうになったので。
慌てて、ヒサメさんの腕をつかんだ。
「独りにしないでくださいっ!」
すぐに布団に潜り込んだ。
あー、昨日・今日と私の頭はパンクしてしまっている。
落ち込む暇がないくらい、次々と色んな情報が入ってきて。
上手く処理しきれない。
はああ。
死んじゃいたいという気持ちは一体、どこに行ったんだろう。
驚いてばっかりで、ネガティブな感情はどこかに吹っ飛んでいる。
サクラがあんなに強い子だって、知らなかった。
私だったら、自分からすすんで訓練をしようだなんて思わない。
サクラの過去に何があったのかはわからないけど。
ちゃんと目的を見つけて、しっかりと歩き出したことは確かだと思った。
それに比べて私は、流されるがままここへやってきて。
何となく、毎日を過ごしている。
一度、死んだことにされて。新しい人生を与えられたというのに。
結局、私の存在のせいで色んな人間が不幸になっている。
もしかしたら、このままだと。
ヒョウさんも不幸になるのではないか…?
私が此処にいることで、国王に怒られているのではないかと考えると。
ズキズキと頭が痛くなった。
考えるが苦手。
記憶が飛んだり、他のことを考えることで現実逃避してきたけど。
今回は、もう逃げられない。
ため息をついて、起き上がる。
カーテンを引いて、窓の外を眺める。
ふと、暗闇に紛れてヒサメさんが、ぼぉーと立っているのが見えた。
何してるんだろ?
ヒサメさんは何をするわけでもなく、ぼぉーと立っている。
独りで。
さすがに不安になって。
様子を見てこようかという考えが浮かんだ。
そっとベッドから出て、上着を羽織る。
そっと部屋から出た。
暗闇が怖いくせに。
何故か平気だった。
玄関の扉を開けて、外に出てみると。
ヒサメさんの姿はなかった。
「夢…?」
きょろきょろと辺りを見渡すが、やはり人影はない。
身体が勝手に幻覚を映したのだろうか。
いつも苦しいときに助けてくれるヒーロー。
こんな苦しい夜に会えたら嬉しい。
…そんな都合のいいわけないよね。
モヤさんがヒサメさんは夜行性だって言っていたけど。
そんな頻繁に外でウロウロしているわけないよね。
ふぅとため息をついて。
部屋に戻ろうかと思ったけど。
せっかく外に出たんだから、庭園でも行ってみようかという気になった。
ネグリジェの裾が汚れないようにゆっくりと庭園へ向かう。
暗いはずの庭園には照明が設置されていて、ユラユラと蝋燭の火が揺れている。
あまりにも幻想的で、ロマンチックな光景に見とれてしまう。
一体、誰がこんなことをしているのだろう?
「…貴女、独りでここに来たの?」
低い声がしたので、私は思わずその場を飛び跳ねた。
振り返ると、全身黒い服を着たヒサメさんがじっとこっちを見ている。
「驚いた、何でいるんですか?」
「驚いたのはこっち。貴女、独りなの?」
何故か女性のような口調で、ヒサメさんは質問してくる。
その質問を聞いて、まばたきをした後、「あ!」と思わず大声が出てしまった。
「あ、ごめんなさい」
この前は混乱して走って、立ち入り禁止のところへ侵入してしまい。
ヒサメさんやモヤさんに迷惑をかけたばかりだというのに。
勝手に庭園に来てはまずかったという事実を今頃になって知ってしまう。
「ごめんなさい。ヒサメさん。戻ります」
ぺこりと頭を下げると。
「独りになりたいんだったら、別にいいけど。ただ、俺は遠くで見張らせてもらうからね。夜になると、向こうの護衛がこっちに来ることもあるからさ」
と、怒ったような声で言われてしまう。
ヒサメさんが背を向けて、どこかへ行ってしまいそうになったので。
慌てて、ヒサメさんの腕をつかんだ。
「独りにしないでくださいっ!」