パラダイス、虹を見て。
「いえ、モヤさんお一人でこの蝋燭を準備したのかなあって」
数えきれないほどの蝋燭がグラスに入って、あらゆる所に置かれている。
片付けるの大変だろうなあという感想しか出てこない。
モヤさんは手を止めることもなく、
「いや、蝋燭は準備してもらった。僕は描くのが専門」
「あ、そうなんですか。凄く綺麗ですね」
頭の中では、ヒサメさんのことを訊こうかどうか考えるけど。
やっぱりやめておこうと思う。
考えてみれば、ヒサメさんは劇場にいるのかもしれない。
モヤさんの邪魔をしてはいけないと思い、
「じゃあ…」といいかけるのを止めるかのように。
モヤさんがこっちを見た。
「この前はヒサメの奥さんの命日だったから」
「…は?」
「いや。ヒカリがこの灯りに感動しているみたいだから先に言っておくけど。庭園をライトアップしているのは毎日じゃないんだ」
「…そうなんですか」
ヒサメの奥さん…というワードが出た瞬間。
心臓を剣でブスリと刺されたような衝撃が走った。
「そろそろ、戻ります。おやすみなさい」
「おお、おやすみー」
そう言うと、モヤさんは左手でぶんぶんと手を振った。
ぺこりと頭を下げて、私は歩き出す。
どさくさに紛れて、凄い一言を突きつけられた気がした。
何も考えたくない。
気になる人に奥さんがいるとか、死んじゃったとか。
命日だとか…。
もう、どうだっていい。
寝よう。
とにかく寝よう。
疲れた・・・
数えきれないほどの蝋燭がグラスに入って、あらゆる所に置かれている。
片付けるの大変だろうなあという感想しか出てこない。
モヤさんは手を止めることもなく、
「いや、蝋燭は準備してもらった。僕は描くのが専門」
「あ、そうなんですか。凄く綺麗ですね」
頭の中では、ヒサメさんのことを訊こうかどうか考えるけど。
やっぱりやめておこうと思う。
考えてみれば、ヒサメさんは劇場にいるのかもしれない。
モヤさんの邪魔をしてはいけないと思い、
「じゃあ…」といいかけるのを止めるかのように。
モヤさんがこっちを見た。
「この前はヒサメの奥さんの命日だったから」
「…は?」
「いや。ヒカリがこの灯りに感動しているみたいだから先に言っておくけど。庭園をライトアップしているのは毎日じゃないんだ」
「…そうなんですか」
ヒサメの奥さん…というワードが出た瞬間。
心臓を剣でブスリと刺されたような衝撃が走った。
「そろそろ、戻ります。おやすみなさい」
「おお、おやすみー」
そう言うと、モヤさんは左手でぶんぶんと手を振った。
ぺこりと頭を下げて、私は歩き出す。
どさくさに紛れて、凄い一言を突きつけられた気がした。
何も考えたくない。
気になる人に奥さんがいるとか、死んじゃったとか。
命日だとか…。
もう、どうだっていい。
寝よう。
とにかく寝よう。
疲れた・・・