パラダイス、虹を見て。
間もなくして、ヒサメさんが医者を連れてやって来て。
診察をしてくれる。
リアルな夢が続くんだなあと思っていると。
お医者さんに衝撃的なことを言われた。
「カスミ様は一週間ほど昏睡状態だったのです」
「え?」
自分の頬をつねってみて、ようやく夢じゃないことを自覚した。
私は一週間ほど前、畑に行こうとして部屋で倒れ。
そのまま意識を失っていたそうだ。
お医者さん曰く、意識不明になった原因はわからないそうで。
検査してもらった結果。
精神的なものが一番の原因ではないかという結論だった。
なんだかなあ…と診断結果に首を傾げていると。
次々とお見舞いに皆がやって来た。
アラレさん、ユキさん、ヒョウさん。
サクラとイナズマさんも2人でお見舞いに来てくれて。
翌日にはモヤさんが絵画を持ってお見舞いにやって来た。
身体的な病気じゃないんだから、もう日常生活に戻れるだろうと思っていたけど。
一週間も寝たきりの状態でいきなり身体を動かすのは危険だとお医者さんに言われ。
まだまだ安静にしていろとのことだったので、大人しくベッドで本を読んでいた。
「おう、ヒッカリー! お見舞いに来たぞ」
特徴あるモヤさんの声に思わず笑みがこぼれる。
サイドデスクに本を置く。
モヤさんは全身真っ黒な服を着て、手土産だという絵画を私に見せてくれた。
そこに書いてあるのは、暗闇に立つ一人の女性だった。
「この絵はヒカリがモデルなんだぞ!」
とモヤさんが得意気に言う。
絵画に描かれた女性は美しく物哀しそうな表情を浮かべ、
赤いドレスを着ている。
モデルと言っても、全然私に似ていない…
モヤさんが美化しすぎなのでは…と考えたけど。
絵のことはわからないので、「ありがとうございます」とお礼を言う。
「ヒカリが病気になったせいで、この屋敷は地獄だったんだぞ」
「なんですか、それ」
急に話題を振ってくるので、モヤさんらしいなと思いながら尋ねる。
窓から暖かな光が差し込んで、とても心地よい時間だった。
「ヒカリが倒れたのを真っ先に気づいたのはヒサメでさ。最初はあいつ、いつも通りに血も涙もないくらい冷静だったのにさ~。2日、3日経ってもヒカリが目を覚まさないからヒサメがヒョウに怒り出して、面倒臭かった」
「…どういうことです? 何で、ヒサメさんがヒョウさんに怒るんです?」
「ヒョウが連れてきた医者はヤブ医者だぁって。名医連れて来いって。すっげー、イライラしてんの。そのうちにアラレは『カスミちゃんが死んじゃう』って泣き出すし。サクラはヒカリが目を覚ますまで離れませんって宣言するし。ユキは落ち込むし。僕もメンタルずたぼろ」
…自分が眠っている間に、凄いことになっていたんだなと驚く。
お見舞いに来たときは誰もそんなこと言ってなかったのに。
「もしかして、その話って誰かに口止めされてたんじゃ?」
「そうそう。ヒョウが黙っておこうって言ったけど。面白いからヒカリに話したほうが良いなって思って。驚いたでしょ」
えへんっと何故かドヤ顔で話すモヤさんに、思わず口をあんぐりと開けてしまったが。
モヤさんらしいなと思って笑ってしまう。
穏やかな時間と錯覚している間に。
こんなに皆に迷惑をかけていたとは…
「迷惑かけてごめんなさい。もう、大丈夫ですから」
ふにゃっと笑って見せると。
モヤさんは急に真剣な顔をしてこっちを見る。
「ヒカリ、絶対に死ぬなよ」
診察をしてくれる。
リアルな夢が続くんだなあと思っていると。
お医者さんに衝撃的なことを言われた。
「カスミ様は一週間ほど昏睡状態だったのです」
「え?」
自分の頬をつねってみて、ようやく夢じゃないことを自覚した。
私は一週間ほど前、畑に行こうとして部屋で倒れ。
そのまま意識を失っていたそうだ。
お医者さん曰く、意識不明になった原因はわからないそうで。
検査してもらった結果。
精神的なものが一番の原因ではないかという結論だった。
なんだかなあ…と診断結果に首を傾げていると。
次々とお見舞いに皆がやって来た。
アラレさん、ユキさん、ヒョウさん。
サクラとイナズマさんも2人でお見舞いに来てくれて。
翌日にはモヤさんが絵画を持ってお見舞いにやって来た。
身体的な病気じゃないんだから、もう日常生活に戻れるだろうと思っていたけど。
一週間も寝たきりの状態でいきなり身体を動かすのは危険だとお医者さんに言われ。
まだまだ安静にしていろとのことだったので、大人しくベッドで本を読んでいた。
「おう、ヒッカリー! お見舞いに来たぞ」
特徴あるモヤさんの声に思わず笑みがこぼれる。
サイドデスクに本を置く。
モヤさんは全身真っ黒な服を着て、手土産だという絵画を私に見せてくれた。
そこに書いてあるのは、暗闇に立つ一人の女性だった。
「この絵はヒカリがモデルなんだぞ!」
とモヤさんが得意気に言う。
絵画に描かれた女性は美しく物哀しそうな表情を浮かべ、
赤いドレスを着ている。
モデルと言っても、全然私に似ていない…
モヤさんが美化しすぎなのでは…と考えたけど。
絵のことはわからないので、「ありがとうございます」とお礼を言う。
「ヒカリが病気になったせいで、この屋敷は地獄だったんだぞ」
「なんですか、それ」
急に話題を振ってくるので、モヤさんらしいなと思いながら尋ねる。
窓から暖かな光が差し込んで、とても心地よい時間だった。
「ヒカリが倒れたのを真っ先に気づいたのはヒサメでさ。最初はあいつ、いつも通りに血も涙もないくらい冷静だったのにさ~。2日、3日経ってもヒカリが目を覚まさないからヒサメがヒョウに怒り出して、面倒臭かった」
「…どういうことです? 何で、ヒサメさんがヒョウさんに怒るんです?」
「ヒョウが連れてきた医者はヤブ医者だぁって。名医連れて来いって。すっげー、イライラしてんの。そのうちにアラレは『カスミちゃんが死んじゃう』って泣き出すし。サクラはヒカリが目を覚ますまで離れませんって宣言するし。ユキは落ち込むし。僕もメンタルずたぼろ」
…自分が眠っている間に、凄いことになっていたんだなと驚く。
お見舞いに来たときは誰もそんなこと言ってなかったのに。
「もしかして、その話って誰かに口止めされてたんじゃ?」
「そうそう。ヒョウが黙っておこうって言ったけど。面白いからヒカリに話したほうが良いなって思って。驚いたでしょ」
えへんっと何故かドヤ顔で話すモヤさんに、思わず口をあんぐりと開けてしまったが。
モヤさんらしいなと思って笑ってしまう。
穏やかな時間と錯覚している間に。
こんなに皆に迷惑をかけていたとは…
「迷惑かけてごめんなさい。もう、大丈夫ですから」
ふにゃっと笑って見せると。
モヤさんは急に真剣な顔をしてこっちを見る。
「ヒカリ、絶対に死ぬなよ」