パラダイス、虹を見て。
暫くの間、部屋でぼーとしていたけれども。
流石に、退屈になって。
着替えて外に出てみることにした。
自分に仕える侍女の人だっていないし、護衛だっていない。
結婚生活中は自由じゃなくて。
ほぼ屋敷内から出られなかったけど。
ここは、誰かに咎められることはなさそうだ。
堂々と玄関口から、出ていくと。
久しぶりの外は眩しくてエネルギーがみなぎるようだった。
外の空気に身体が喜んでいる。
改めて見ると、ヒョウさんの住む屋敷は大きい。
じっと眺めた後、庭を散歩することにした。
庭はあまりにも広くて。
一体、どこまでがヒョウさんの土地なのかわからなくなる。
行き届いた草花を見ていると、この庭を世話している人はセンスあるなあと思ってしまう。
花がギラついていない。
大きくて綺麗で目立つ花だけを植えようとしない。
のびのびと花を愛して、育てている気がする。
歩いていると、もっと懐かしいと感じるような土の匂いがして。
まさかと思っていると。
目の前に畑があった。
草むしりをしているのか、しゃがみ込んでいる麦わら帽子の男性を発見する。
屋敷の近くに畑?
首を傾げていると、男性がこっちを見て「おっ、カスミちゃんだあ」と言って、立ち上がった。
首に巻いた白いタオルで顔を拭いて。
こっちに近寄ってくる。
「美少年…」
近づいてきて、あまりにもカッコ良かったので。
思わずのけぞってしまう。
ヒョウさんも整ったカオしているけど。
彼は、本当に「美少年」という表現がふさわしいと思う。
人懐っこい笑顔と、整った顔を見てドキドキとしてしまう。
日焼けした肌に、麦わら帽子。
茶色いツナギを着た男性…男の子?
「はじめまして。カスミちゃん」
そう言って、男の子は軍手を外す。
私は黙ったまま、失礼ながらも男の子の顔を見てしまった。
「僕の名前はね、アラレ」
「あられ・・・?」
聴いたこともない言葉だ。
「みーんな、変な名前って言うんだよねえ。まあ、でもヒョウよりかはマシだと思う!」
と言って、スペシャル級の笑顔を見せた。
「僕はねえ、カスミちゃんと同じ秘密の館の住人なの」
「ひみつの…やかた?」
思わず、屋敷のほうを見てしまった。
なんだろう、その秘密の館って!?
困った顔をしていたのだろうか。「あ、しまった」と言って。
アラレさんは、
「いまのは無視して。ヒョウのおうちってこと」
「あ…ハイ」
無視と言われても、気になってしまう。
「もう身体のほうは大丈夫?」
と言って。
何故かアラレさんは私の周りを無意味に一周して。
じろじろと見下ろす。
「あ、ハイ。何とか」
「一人でお散歩?」
今度は私の背後をじっと見つめる。
「あ、はい・・・。すいません」
もしかして、怒られるのではないかと感じた。
「うーん。病み上がりなんだから、気を付けてね」
そう言って、私の目の高さまでアラレさんはかがんだ。
あまりにも顔を近づけるから、顔に熱が帯びていく。
やめて、イケメン!!
「ここら辺を散歩するのは良いけど、宮殿の方は行ったら駄目だからね」
「…宮殿?」
「うん、あのお城」
アラレさんが指さした遠い向こう側に。
小さいけど肉眼ではっきりと見えるお城があった。
「…城?」
アラレさんは何を言っているのだろう?
行くわけないだろうに。
そこまで私は馬鹿じゃない。
「ここねえ、王家の居住地との境界線が難しいから」
「…どういうことですか?」
ぽかんとしていると。アラレさんはまた、「しまった」と言って。
「とりあえず、この近辺は散歩して大丈夫だよ。ただ、それ以外は他の人の土地だからウロウロしたら大変なことになるよってこと」
「ああ。なるほど。境目がわかりにくいってことですよね?」
「そうそう、そういうことだから!」
そう言って、アラレさんは笑った。
流石に、退屈になって。
着替えて外に出てみることにした。
自分に仕える侍女の人だっていないし、護衛だっていない。
結婚生活中は自由じゃなくて。
ほぼ屋敷内から出られなかったけど。
ここは、誰かに咎められることはなさそうだ。
堂々と玄関口から、出ていくと。
久しぶりの外は眩しくてエネルギーがみなぎるようだった。
外の空気に身体が喜んでいる。
改めて見ると、ヒョウさんの住む屋敷は大きい。
じっと眺めた後、庭を散歩することにした。
庭はあまりにも広くて。
一体、どこまでがヒョウさんの土地なのかわからなくなる。
行き届いた草花を見ていると、この庭を世話している人はセンスあるなあと思ってしまう。
花がギラついていない。
大きくて綺麗で目立つ花だけを植えようとしない。
のびのびと花を愛して、育てている気がする。
歩いていると、もっと懐かしいと感じるような土の匂いがして。
まさかと思っていると。
目の前に畑があった。
草むしりをしているのか、しゃがみ込んでいる麦わら帽子の男性を発見する。
屋敷の近くに畑?
首を傾げていると、男性がこっちを見て「おっ、カスミちゃんだあ」と言って、立ち上がった。
首に巻いた白いタオルで顔を拭いて。
こっちに近寄ってくる。
「美少年…」
近づいてきて、あまりにもカッコ良かったので。
思わずのけぞってしまう。
ヒョウさんも整ったカオしているけど。
彼は、本当に「美少年」という表現がふさわしいと思う。
人懐っこい笑顔と、整った顔を見てドキドキとしてしまう。
日焼けした肌に、麦わら帽子。
茶色いツナギを着た男性…男の子?
「はじめまして。カスミちゃん」
そう言って、男の子は軍手を外す。
私は黙ったまま、失礼ながらも男の子の顔を見てしまった。
「僕の名前はね、アラレ」
「あられ・・・?」
聴いたこともない言葉だ。
「みーんな、変な名前って言うんだよねえ。まあ、でもヒョウよりかはマシだと思う!」
と言って、スペシャル級の笑顔を見せた。
「僕はねえ、カスミちゃんと同じ秘密の館の住人なの」
「ひみつの…やかた?」
思わず、屋敷のほうを見てしまった。
なんだろう、その秘密の館って!?
困った顔をしていたのだろうか。「あ、しまった」と言って。
アラレさんは、
「いまのは無視して。ヒョウのおうちってこと」
「あ…ハイ」
無視と言われても、気になってしまう。
「もう身体のほうは大丈夫?」
と言って。
何故かアラレさんは私の周りを無意味に一周して。
じろじろと見下ろす。
「あ、ハイ。何とか」
「一人でお散歩?」
今度は私の背後をじっと見つめる。
「あ、はい・・・。すいません」
もしかして、怒られるのではないかと感じた。
「うーん。病み上がりなんだから、気を付けてね」
そう言って、私の目の高さまでアラレさんはかがんだ。
あまりにも顔を近づけるから、顔に熱が帯びていく。
やめて、イケメン!!
「ここら辺を散歩するのは良いけど、宮殿の方は行ったら駄目だからね」
「…宮殿?」
「うん、あのお城」
アラレさんが指さした遠い向こう側に。
小さいけど肉眼ではっきりと見えるお城があった。
「…城?」
アラレさんは何を言っているのだろう?
行くわけないだろうに。
そこまで私は馬鹿じゃない。
「ここねえ、王家の居住地との境界線が難しいから」
「…どういうことですか?」
ぽかんとしていると。アラレさんはまた、「しまった」と言って。
「とりあえず、この近辺は散歩して大丈夫だよ。ただ、それ以外は他の人の土地だからウロウロしたら大変なことになるよってこと」
「ああ。なるほど。境目がわかりにくいってことですよね?」
「そうそう、そういうことだから!」
そう言って、アラレさんは笑った。