パラダイス、虹を見て。
 変なところだなと。
 つくづく思う。
 謎に満ち溢れている空間に。
 何だかよくわからない人達だけど。
 良い人達ばかりなのは確かだ。

 翌朝。
 目を覚まして。
 ぐっすりと眠れていることに驚いた。
 いつのまにか、眠りについて。
 ヒサメさんの姿はなかった。

 身支度をして、食堂で朝食を食べ終えて。
 部屋でぼーとしていたけど。
 退屈すぎて、すぐに外に出てみることにした。

 暖かな天候とよく晴れた空。
 散歩していると、いつのまにかアラレさんの畑に来ていた。
 アラレさんは昨日と同じ格好で。
 野菜を収穫していた。
「アラレさん、おはようございます」
 声をかけると。
 満面の笑みでアラレさんがこっちを見る。

「おはよう、カスミちゃん」
 近づいてみると、籠いっぱいに野菜が入っている。
「カスミちゃん、せっかくの服ドロドロになっちゃうよ?」
 アラレさんに言われ、
 ドレスの裾に泥がついているのに気づいた。
「あ・・・、まあ、大丈夫です。後で洗います」
「女の子なのに、畑に入ってくるなんて不思議な子だねえ」
 のんびりとした口調でアラレさんが言った。
「アラレさん、手伝ってもいいですか?」
「え!?」
 目を見開いてアラレさんが驚く。
「ご令嬢がこんな…、手汚れちゃうよ?」
 急に慌てふためくアラレさんを見て。
 あれ? と首を傾げる。

「アラレさん、ヒョウさんから私について聴いてないんですか?」
「え? カスミちゃんはヒョウの妹で。伯爵家出身なんでしょ?」
「・・・?」
 ヒョウさんは全部、説明してないのだろうか。
「私。元は平民出身で、農家で育ったんですよ」
「え、そうなの!?」
 大声でアラレさんが叫んだ。
「ヒョウが嘘ついたってこと?」
「えーと…、話せば長くなるんですけど…」
 私がどう説明すればいいんだろうと考えていると。
「まあ、いいや。じゃあ、カスミちゃんのほうが農業の先輩ってわけだ」
 アラレさんが笑う。
「先輩ってそんな…」
「俺、畑始めてまだ2~3年だからさ。色々とご指導願います」
 そう言って、アラレさんはペコリと頭を下げた。
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