パラダイス、虹を見て。
 モヤさんに言われ、私もツナギを着て。
 庭園にやってきた。
 何を手伝うんだろうと思っていると。
 目の前に、80歳は過ぎているであろう、杖をついたおじいさんが現れた。
 腰が曲がっていてプルプルと震えている。
 真っ黒なサングラスをかけて、かすれた声で「どうも」と言われた。

「師匠、手伝ってくれる人間を連れてきたので。バシバシ庭園での作業進めてください」
「ほうかい…」
 師匠と呼ばれている、おじいさんはじっと私を見る。
 あまりにもジロジロ見られるので、愛想笑いを浮かべると。
「まあまあだな」
 とだけ、言われた。
「…どういうこと?」
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