パラダイス、虹を見て。
5.パーティーへ行こう!
秘密の館で暮らし始めて一ヵ月が経った。
過去の自分は「ゴミ」で消えてしまいたいって何度も思っていたけど。
ここへ来てからの自分は変わった。
まず、好きなことをしても誰にも怒られない。
朝起きて、朝食を食べて。
畑仕事をしたり、庭仕事を手伝う。
夜は、誰かと必ず夕食を共にして。
寝る前に誰かが付き添って、たわいもない話をする。
不眠だった日々から解放され、
見えない恐怖からも解放され。
幸せってあるんだと驚きを隠せなかった。
唯一の心残りは、
養父母に会えないこと。
私が会うことは二度とないだろうけど。
せめて、謝りたかったなあ。
「ぱ、パーティー!?」
その日は珍しく、モヤさん以外の全員が揃って夕飯を食べていた。
ヒョウさんに「毎日、ドレスアップする必要はないからね」と言われたので、質素な紺色のワンピースを着て、食事をしていた。
思わず、目の前に座っているヒョウさんを凝視する。
「そう。舞踏会。踊って、飲んで食べての繰り返し」
ヒョウさんの言葉に。
私は一気に食欲をなくした。
目の前には、アラレさん自家製のサラダが置かれている。
「俺が招待されたんだけどさ、是非。カスミと一緒に行こうかと思ってさ」
「私が行くのはマズいんじゃ…」
助け船を求めるつもりはなかったけど。
ヒョウさんの隣に座っているアラレさんと目が合った。
アラレさんは、アハハと笑って。
「本当はね、俺がヒョウと行きたかったの。でも、俺、男だから行けないの」
自虐ぎみに言った一言に。
その場の空気が一瞬で凍り付いた。
ただ一人、ヒサメさんは気にしないで、食事を続けている。
「ヒョウ、このお嬢さんの知り合いと鉢合わせする可能性はないの?」
お嬢さんという言葉に、むっとして。
私は思わず隣に座っていたヒサメさんを睨んだ。
「ああ。大丈夫。仮面舞踏会だから」
ヒョウさんはヒサメさんを見ながら言う。
私は、気まずくて。
どう返していいのかわからなくなる。
「俺が昔、お世話になった人が主催する舞踏会だからさ。ペアで来てくださいって言われていて。だから、カスミ。頼む」
そう言って、頭を下げるヒョウさん。
何故かアラレさんも、
「俺からも頼みます」
と言って頭を下げられてしまう。
(絶対に行きたくないわー)
過去の自分は「ゴミ」で消えてしまいたいって何度も思っていたけど。
ここへ来てからの自分は変わった。
まず、好きなことをしても誰にも怒られない。
朝起きて、朝食を食べて。
畑仕事をしたり、庭仕事を手伝う。
夜は、誰かと必ず夕食を共にして。
寝る前に誰かが付き添って、たわいもない話をする。
不眠だった日々から解放され、
見えない恐怖からも解放され。
幸せってあるんだと驚きを隠せなかった。
唯一の心残りは、
養父母に会えないこと。
私が会うことは二度とないだろうけど。
せめて、謝りたかったなあ。
「ぱ、パーティー!?」
その日は珍しく、モヤさん以外の全員が揃って夕飯を食べていた。
ヒョウさんに「毎日、ドレスアップする必要はないからね」と言われたので、質素な紺色のワンピースを着て、食事をしていた。
思わず、目の前に座っているヒョウさんを凝視する。
「そう。舞踏会。踊って、飲んで食べての繰り返し」
ヒョウさんの言葉に。
私は一気に食欲をなくした。
目の前には、アラレさん自家製のサラダが置かれている。
「俺が招待されたんだけどさ、是非。カスミと一緒に行こうかと思ってさ」
「私が行くのはマズいんじゃ…」
助け船を求めるつもりはなかったけど。
ヒョウさんの隣に座っているアラレさんと目が合った。
アラレさんは、アハハと笑って。
「本当はね、俺がヒョウと行きたかったの。でも、俺、男だから行けないの」
自虐ぎみに言った一言に。
その場の空気が一瞬で凍り付いた。
ただ一人、ヒサメさんは気にしないで、食事を続けている。
「ヒョウ、このお嬢さんの知り合いと鉢合わせする可能性はないの?」
お嬢さんという言葉に、むっとして。
私は思わず隣に座っていたヒサメさんを睨んだ。
「ああ。大丈夫。仮面舞踏会だから」
ヒョウさんはヒサメさんを見ながら言う。
私は、気まずくて。
どう返していいのかわからなくなる。
「俺が昔、お世話になった人が主催する舞踏会だからさ。ペアで来てくださいって言われていて。だから、カスミ。頼む」
そう言って、頭を下げるヒョウさん。
何故かアラレさんも、
「俺からも頼みます」
と言って頭を下げられてしまう。
(絶対に行きたくないわー)