パラダイス、虹を見て。
まさか自分に話しかけてくれる人がいるとは思わなかった。
焦って駆けだしてしまったので、入口とは別の扉から出てしまった。
恐らく、休憩所や個室などがあるところに迷い込んでしまったのだろう。
戻ろうにも、さっきの男性がいるかもしれないと思い。
どこか休めるところはないだろうかと前に進むことにした。
ダンスホールから音が遠ざかるのにつれて。
人の気配もしなくなってくる。
残念ながら、休めるところはなさそうなので戻ろうかと後ろを振り返ろうとすると。
聞き覚えのある声に身体をビクリと震わせる。
男性二人組の声だった。
脳内で「逃げろー」という声が聴こえたので、
私は適当に開いている部屋に逃げ込もうと小走りになる。
それでも、後ろから聞き覚えのある声がついてくるので。
外に出なきゃ駄目だと思い、
土壇場で外に出る扉を開けた。
外はひんやりとして冷たくて。
風でドレスがめくれたけれども。
それよりも! と焦りながら。
小走りで庭に出て、何だかよくわからない銅像の後ろに隠れた。
バクバクバク。
こんなに心拍数って上がるのだろうか?
足がガクガクと震える。
そっと、扉の方に目をやると。
扉の前で二人組の男性が煙草を吸っていた。
一人は仮面を取って「あー、疲れんなあ」と言う。
やはり、二番目の元夫だ。
こっちには気づいていない。
だけど、心臓のバクバクはおさまらなかった。
元夫の隣にいる男性も見覚えがある。
名前は覚えてはいないけど、元夫の親友だ。
「しっかし、奥さん亡くなったって言うのに。もう婚約者いるって。どういう思考回路だよ」
大声で親友が言う。
「あんなの奥さんですら、ねえよ」
(オイオイ)
久しぶりに会う元夫の口の悪さは健在だった。
まさか、こんなところで再会するとは思わなかったけど。
その腐った性格は変わらないんだなあと呆れてしまう。
「だいたい、あの女の父親がイカれてんだよ」
「ハワード家が? 何で?」
「親父がハワード伯爵に弱み握られてんだよ。だから、仕方なく俺はあの女と結婚しただけ」
「へー、初耳だな」
「だいたい、あんな田舎臭い女のどこに魅力があるわけ? おまえだって笑ってただろ」
煙を吐き出すと、元夫は親友を睨む。
「俺はてっきりパトリシアさんと結婚するんだと思ってたからさあ。だって、元平民とおまえが・・・ブッ」
親友が笑い出すと、元夫は「笑うなよ」と大声で怒鳴った。
会話を聴いていた私は、
今、自分はどうやって立っているのだろうかと思うくらい。
朦朧としてくる。
「彼女が待ってる。絶対にあの女の話題はすんなよ!」
「わかってるって」
ようやく元夫とその親友がいなくなると。
私は、どすんと音を立てて座り込んでしまった。
焦って駆けだしてしまったので、入口とは別の扉から出てしまった。
恐らく、休憩所や個室などがあるところに迷い込んでしまったのだろう。
戻ろうにも、さっきの男性がいるかもしれないと思い。
どこか休めるところはないだろうかと前に進むことにした。
ダンスホールから音が遠ざかるのにつれて。
人の気配もしなくなってくる。
残念ながら、休めるところはなさそうなので戻ろうかと後ろを振り返ろうとすると。
聞き覚えのある声に身体をビクリと震わせる。
男性二人組の声だった。
脳内で「逃げろー」という声が聴こえたので、
私は適当に開いている部屋に逃げ込もうと小走りになる。
それでも、後ろから聞き覚えのある声がついてくるので。
外に出なきゃ駄目だと思い、
土壇場で外に出る扉を開けた。
外はひんやりとして冷たくて。
風でドレスがめくれたけれども。
それよりも! と焦りながら。
小走りで庭に出て、何だかよくわからない銅像の後ろに隠れた。
バクバクバク。
こんなに心拍数って上がるのだろうか?
足がガクガクと震える。
そっと、扉の方に目をやると。
扉の前で二人組の男性が煙草を吸っていた。
一人は仮面を取って「あー、疲れんなあ」と言う。
やはり、二番目の元夫だ。
こっちには気づいていない。
だけど、心臓のバクバクはおさまらなかった。
元夫の隣にいる男性も見覚えがある。
名前は覚えてはいないけど、元夫の親友だ。
「しっかし、奥さん亡くなったって言うのに。もう婚約者いるって。どういう思考回路だよ」
大声で親友が言う。
「あんなの奥さんですら、ねえよ」
(オイオイ)
久しぶりに会う元夫の口の悪さは健在だった。
まさか、こんなところで再会するとは思わなかったけど。
その腐った性格は変わらないんだなあと呆れてしまう。
「だいたい、あの女の父親がイカれてんだよ」
「ハワード家が? 何で?」
「親父がハワード伯爵に弱み握られてんだよ。だから、仕方なく俺はあの女と結婚しただけ」
「へー、初耳だな」
「だいたい、あんな田舎臭い女のどこに魅力があるわけ? おまえだって笑ってただろ」
煙を吐き出すと、元夫は親友を睨む。
「俺はてっきりパトリシアさんと結婚するんだと思ってたからさあ。だって、元平民とおまえが・・・ブッ」
親友が笑い出すと、元夫は「笑うなよ」と大声で怒鳴った。
会話を聴いていた私は、
今、自分はどうやって立っているのだろうかと思うくらい。
朦朧としてくる。
「彼女が待ってる。絶対にあの女の話題はすんなよ!」
「わかってるって」
ようやく元夫とその親友がいなくなると。
私は、どすんと音を立てて座り込んでしまった。