パラダイス、虹を見て。
 兄・・・。
 私には兄が3人、駆け落ちして行方不明の姉が1人いる。

「胡散臭いって思ったでしょ? けど、事実なんだ」
「…信じます」
 私は頷いた。
 懐かしいって感じたのは、血が繋がっていたということか。

 貴族は皆、女癖が悪い。
 …暗黙のルールと言ったところだろうか。
 王家は代々、男性が跡を継ぐというルールがあるために一夫多妻制が許されている。
 貴族は一夫一妻制だけれど。
 やっぱり、跡継ぎは男っていう決まりだから。
 本妻に男が生まれなければ、
 あっちこっちで好き放題に愛人を作って子供を生ませる。
 それが、現実だった。

 本妻に子供を4人も生ませ。
 そのうち男は3人もいるって言うのに。
 うちの父は酷く女癖が悪かった。
 現に私は父が外で作った愛人の子だ。

 だから、自分の知らないところで、兄や姉や、弟や妹がいると言われても何の不思議ではない。
 よーく見ると、ヒョウさんは父と輪郭が似ている。
「俺のこと、信じてくれるの? 初対面なのに」
「…正直、ヒョウさん。似ているんで…」
 素直に答えると、ヒョウさんは急に笑い出した。
「それに、私みたいなゴミを助けてくれるなんて良い人に決まってますよ」
 自虐的に言うと。
「ゴミだなんて言うな!」
 と大声でヒョウさんに怒られた。
「ヒョウさん。どこまで調べているかわからないですけど。私、子供が産めない身体みたいです」
 初対面なのに、自分の秘密をぶちまけている自分もどうなのか。
 ただ、ヒョウさんは知っているだろうなと感じた。
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