パラダイス、虹を見て。
 何だ、その質問は!?
 恋する乙女が好きな人に質問するような内容じゃないかいっ。

「へ?」
 マヌケな声しか出ない。
「どう思ってるって、可愛い子だなあと」
 思ったことを、そのまま言うと。
 サクラは「はぁ…」と深いため息をついた。

「私は、自分が嫌い」

 そう言って顔を両手で覆う。
 そのとき。
 ヒョウさんが言っていた「魔法」という言葉が脳裏に蘇った。

「サクラちゃん。自分が嫌いでも、ご飯はちゃんと食べなさいよ。サンドイッチ置いておくからね」
 そう言うのが精一杯で。
 そそくさとサクラの部屋を出た。


『サクラは魔法が使えるんだ』

 ヒョウさんの言葉。
 …そういうことなの?

 ズカズカと音をたてて。
 外に出て。
 畑へと戻る。
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