パラダイス、虹を見て。
絵を見た瞬間に胸が苦しくなった。
手を拳にする。
モヤさんには失礼だけど、見たくないって思った。
「ヒサメの結婚式の時、僕が二人の肖像画を描いたの」
「…素敵ですね」
やっと絞り出した声が、かすれていた。
頭がキーンとして痛みに襲われる。
あまりにも美しい女性と。
あまりにもカッコよくて素敵なヒサメさん。
奥さんは金髪に碧眼。ティルレット王国の人ではないように見えた。
「ヒサメはね。俺達、騎士団の中で一番早く結婚したの」
「騎士団?」
モヤさんはじっと絵を眺める。
「スカジオン王国のご令嬢に求愛されて結婚。騎士団にはね、30歳すぎるまでは結婚しちゃいけないっていう暗黙の掟があるのに。アイツは簡単に破った」
「……」
まさかと思ってモヤさんを見る。
整った横顔。
さみしそうに感じるのは何故か。
「ヒサメは確かに結婚してた」
「…綺麗な奥さんですね」
なるべく絵を見ないようにして言う。
耐えられない。
今すぐこの絵から離れたいと思った。
「死んじゃったけどね」
モヤさんは絵から目を放して、私を見た。
「ヒカリ、知ってる? 隣国には魔女がいるんだよ」
「魔女?」
手を拳にする。
モヤさんには失礼だけど、見たくないって思った。
「ヒサメの結婚式の時、僕が二人の肖像画を描いたの」
「…素敵ですね」
やっと絞り出した声が、かすれていた。
頭がキーンとして痛みに襲われる。
あまりにも美しい女性と。
あまりにもカッコよくて素敵なヒサメさん。
奥さんは金髪に碧眼。ティルレット王国の人ではないように見えた。
「ヒサメはね。俺達、騎士団の中で一番早く結婚したの」
「騎士団?」
モヤさんはじっと絵を眺める。
「スカジオン王国のご令嬢に求愛されて結婚。騎士団にはね、30歳すぎるまでは結婚しちゃいけないっていう暗黙の掟があるのに。アイツは簡単に破った」
「……」
まさかと思ってモヤさんを見る。
整った横顔。
さみしそうに感じるのは何故か。
「ヒサメは確かに結婚してた」
「…綺麗な奥さんですね」
なるべく絵を見ないようにして言う。
耐えられない。
今すぐこの絵から離れたいと思った。
「死んじゃったけどね」
モヤさんは絵から目を放して、私を見た。
「ヒカリ、知ってる? 隣国には魔女がいるんだよ」
「魔女?」