パラダイス、虹を見て。
マシュウとは小さい頃、よく遊んだものだ。
小さくて可愛くて。お互い一人っ子だから姉弟のように育った。
だけど、マシュウが10歳になる年。
家計が苦しくて出稼ぎに行くと行って。
マシュウは出て行ってしまった。
それっきり、会ってない。
面影は残るけど。
声が違う。
大人になったマシュウが、どうしてこんなことをしているのだろう。
「もしかして、知らないの?」
「何を?」
「お姉ちゃんのせいで、村の人間がほとんど殺されたんだよ」
キーンと。
頭の中で嫌な音が鳴り響く。
「おじさんもおばさんもハワード伯爵に殺されたよ」
「…嘘だ」
後ずさりしようとするが、
マシュウは剣をつきつけたままだ。
「俺とお姉ちゃんだけ助かった」
「…ねえ、嘘だよね?」
涙が溢れてくる。
否定してほしかった。
「お姉ちゃんがハワード家の人間だからいけないんだよ」
「ねえ、違うよね? 嘘って言ってよ」
泣きながら叫んだが。
マシュウには届かない。
「まさか、ここで再会するとは思わなかったよ。家族の敵が取れて良かった」
マシュウは真顔で言った。
「さようなら」
剣を振りかざされて。
思わず目を閉じる。
弟のようにかわいがっていたマシュウに殺される。
こんなみじめで悲しいことはない。
「こんなところで敵討ちなんて、阿呆な人間のやることでしょ」
頭上から降ってきたのは。
聞き覚えのある甲高い声。
恐る恐る目を開けると。
マシュウは倒れ込んで。
マシュウの喉元を、ヒサメさんが踏みつけていた。
「誰か来てくれるー?」
ヒサメさんの声が響き渡った。
小さくて可愛くて。お互い一人っ子だから姉弟のように育った。
だけど、マシュウが10歳になる年。
家計が苦しくて出稼ぎに行くと行って。
マシュウは出て行ってしまった。
それっきり、会ってない。
面影は残るけど。
声が違う。
大人になったマシュウが、どうしてこんなことをしているのだろう。
「もしかして、知らないの?」
「何を?」
「お姉ちゃんのせいで、村の人間がほとんど殺されたんだよ」
キーンと。
頭の中で嫌な音が鳴り響く。
「おじさんもおばさんもハワード伯爵に殺されたよ」
「…嘘だ」
後ずさりしようとするが、
マシュウは剣をつきつけたままだ。
「俺とお姉ちゃんだけ助かった」
「…ねえ、嘘だよね?」
涙が溢れてくる。
否定してほしかった。
「お姉ちゃんがハワード家の人間だからいけないんだよ」
「ねえ、違うよね? 嘘って言ってよ」
泣きながら叫んだが。
マシュウには届かない。
「まさか、ここで再会するとは思わなかったよ。家族の敵が取れて良かった」
マシュウは真顔で言った。
「さようなら」
剣を振りかざされて。
思わず目を閉じる。
弟のようにかわいがっていたマシュウに殺される。
こんなみじめで悲しいことはない。
「こんなところで敵討ちなんて、阿呆な人間のやることでしょ」
頭上から降ってきたのは。
聞き覚えのある甲高い声。
恐る恐る目を開けると。
マシュウは倒れ込んで。
マシュウの喉元を、ヒサメさんが踏みつけていた。
「誰か来てくれるー?」
ヒサメさんの声が響き渡った。