パラダイス、虹を見て。
疲れた。
疲れた。
本当に、もう嫌だ。
ベッドに倒れ込むと。
ドアがノックされた。
「大丈夫? カスミさん」
私と同じように疲れた様子でユキさんが部屋に入ってきた。
絶対に寝る前に来るだろうと思っていた。
ユキさんは定位置である椅子に座ると。
「ごめん」と言って頭を下げた。
「養父母のことは、私を傷つけないようにするためだったんですよね?」
ここへ来た日。
弁護士のピエールさんは真実を話そうとしていたのだと思う。
それを遮ったのが、ユキさんだった。
養父母が施設から男の子を迎え入れて養子にしたというのは、ユキさんの作り話だ。
…真実は、自分の父親が全て壊したのだ。
「傷つけないようにするためだからって、結果としてカスミさんに怖い思いをさせた」
下を向いたままのユキさんを見ているのが辛かった。
「まだ、実感が全然湧かないんです。養父母が死んだなんて」
さっき、散々泣いたのに。
喋っていると涙がまた出てくる。
どうして、一度不幸な話が出てくると、連続で嫌なことが起きるのだろう。
悲しみは心の中で爆発して。
わからなくなる。
ユキさんは黙って私を見ている。
「すいません、ユキさんは悪くないんです。勝手に私が泣いているだけです」
「僕のことはいいから、悲しいときは沢山泣いていい」
ユキさんの手がにゅっとこっちに近づいてくる。
が、ぴたっと止まった。
「カスミさんに触れると怒る奴がいるから、やめとく」
「…ユキさん。手を繋いでください」
多分、ユキさんと私の頭の中にはアラレさんが浮かんでいたと思う。
もしくは、モヤさんか。
アラレさんは、時折。私をヒョウさんと重ねることがあるらしい。
全然、似てないのに「ヒョウがちょっかいだされてるみたいで嫌ー」と言うそうだ。
ユキさんの手はあたたかい。
安心してくる。
「自分の父親が悪魔だってことくらい、わかってます」
「ん?」
鼻声で話しているので。
聞き取りにくかったのかもしれない。
「私の父親は悪魔です」
疲れた。
本当に、もう嫌だ。
ベッドに倒れ込むと。
ドアがノックされた。
「大丈夫? カスミさん」
私と同じように疲れた様子でユキさんが部屋に入ってきた。
絶対に寝る前に来るだろうと思っていた。
ユキさんは定位置である椅子に座ると。
「ごめん」と言って頭を下げた。
「養父母のことは、私を傷つけないようにするためだったんですよね?」
ここへ来た日。
弁護士のピエールさんは真実を話そうとしていたのだと思う。
それを遮ったのが、ユキさんだった。
養父母が施設から男の子を迎え入れて養子にしたというのは、ユキさんの作り話だ。
…真実は、自分の父親が全て壊したのだ。
「傷つけないようにするためだからって、結果としてカスミさんに怖い思いをさせた」
下を向いたままのユキさんを見ているのが辛かった。
「まだ、実感が全然湧かないんです。養父母が死んだなんて」
さっき、散々泣いたのに。
喋っていると涙がまた出てくる。
どうして、一度不幸な話が出てくると、連続で嫌なことが起きるのだろう。
悲しみは心の中で爆発して。
わからなくなる。
ユキさんは黙って私を見ている。
「すいません、ユキさんは悪くないんです。勝手に私が泣いているだけです」
「僕のことはいいから、悲しいときは沢山泣いていい」
ユキさんの手がにゅっとこっちに近づいてくる。
が、ぴたっと止まった。
「カスミさんに触れると怒る奴がいるから、やめとく」
「…ユキさん。手を繋いでください」
多分、ユキさんと私の頭の中にはアラレさんが浮かんでいたと思う。
もしくは、モヤさんか。
アラレさんは、時折。私をヒョウさんと重ねることがあるらしい。
全然、似てないのに「ヒョウがちょっかいだされてるみたいで嫌ー」と言うそうだ。
ユキさんの手はあたたかい。
安心してくる。
「自分の父親が悪魔だってことくらい、わかってます」
「ん?」
鼻声で話しているので。
聞き取りにくかったのかもしれない。
「私の父親は悪魔です」