パラダイス、虹を見て。
養護施設には、週に一度牧師が来てお祈りの時間があった。
聖書を読んで、賛美歌を歌って。
牧師の話があった。
何故、自分は生まれてきたのか。
そんな哲学チックな話だった気がする。
何故か久しぶりに見た夢は施設での夢だった。
「おいっ。女、宿についたぞ」
気づいたら、すっかりと眠り込んでいた。
イナズマさんの声で、跳ね上がる。
ゴツンと頭をぶつけた。
「今日はもう暗くなっちまったから、ホテルに泊まって明日、一気に行くから」
「そうですか…」
実は、お城から自分が住んでいた集落までどれくらい離れているのかを知らない。
歩いてはいけないくらい遠い…ぐらいにしか認識していない。
あの集落では貴族どころか、王族すら無縁だったと思う。
ホテルは正直、古めかしい感じだった。
2人部屋を2部屋取ってもらい、明日の朝、集合することになった。
「あの車の中での空間、辛すぎた…」
部屋に入ってサクラに言うと。
「そう? 私は外出ができるから気にならないっ」
明るくサクラが言うので。
文句も言えなくなる。
「カスミ、ご飯食べに行きましょうよ。もう8時よ」
「そうだね」
部屋を出て鍵を閉めてホテルの外へ出る。
この街は意外と人が多くて。
ホテルの近くには沢山の飲食店があった。
「どうせ、イナズマさん達はステーキでも食べてるんじゃない?」
ステーキ屋を指さすサクラ。
「確かに」
思わず笑ってしまう。
周辺をプラプラして、それなりにお客さんが入っている洋食屋さんで食事をした後。
ホテルに戻ろうとした時だった。
「お嬢さん、可愛いね」
嫌な予感がした。
こんな感じの光景を目にするのは二度目だ。
目の前にはガラの悪い男3人組が立って、サクラをナンパし始めた。
「おいら達と一緒に飲もうよ」
ヘラヘラと笑う男たちを見て、嫌悪感しかなかった。
サクラは「やめてください」と言って通り抜けようとしたが、
男の一人が、しっかりとサクラの細い腕をつかんだ。
私は何故だか、わからないけど。
ぽかんと黙ってその光景を見ていることしかできなかった。
「あ、そっちのお嬢さんは帰っていいからね」
3人のうちの一人が陽気に言ってくる。
「ちょっとはなしてってば」
サクラが叫ぶと。
物凄い勢いでフードを被った男性が突進してきて。
男に向かって飛び蹴り…したのだが。
男が倒れた拍子にサクラも共倒れした。
「サクラ。ちょっと身体がなまってるんじゃないのかねえ」
男に向かって短剣を突き付けたのは、ヒサメさんだった。
そのすきに、後ろにいた2人の男をイナズマさんが素手で殴り倒す。
モヤさんもそうだけど。
強い・・・。
こてんぱんにやられた3人組の男は「クソがっ」と汚い言葉を吐き捨てて去っていく。
近くで心配そうに見守っていた人達が「わー」と言って拍手する。
「サクラ、大丈夫?」
サクラはよろつきながら、立ち上がった。
「まったく、おまえは本当に騎士団の人間か!」
大声で、イナズマさんが怒鳴った。
「女として生きるにしても、身体がなまりすぎてる。今から、俺と特訓だ」
「えっ」
「はっ?」
サクラと私は驚く間もなく。
イナズマさんはサクラの手を引っ張ってどこかへと消えていった。
残された私とヒサメさんは顔を見合わせる。
「とりあえず、部屋に戻ろうか」
「…そうですね」
聖書を読んで、賛美歌を歌って。
牧師の話があった。
何故、自分は生まれてきたのか。
そんな哲学チックな話だった気がする。
何故か久しぶりに見た夢は施設での夢だった。
「おいっ。女、宿についたぞ」
気づいたら、すっかりと眠り込んでいた。
イナズマさんの声で、跳ね上がる。
ゴツンと頭をぶつけた。
「今日はもう暗くなっちまったから、ホテルに泊まって明日、一気に行くから」
「そうですか…」
実は、お城から自分が住んでいた集落までどれくらい離れているのかを知らない。
歩いてはいけないくらい遠い…ぐらいにしか認識していない。
あの集落では貴族どころか、王族すら無縁だったと思う。
ホテルは正直、古めかしい感じだった。
2人部屋を2部屋取ってもらい、明日の朝、集合することになった。
「あの車の中での空間、辛すぎた…」
部屋に入ってサクラに言うと。
「そう? 私は外出ができるから気にならないっ」
明るくサクラが言うので。
文句も言えなくなる。
「カスミ、ご飯食べに行きましょうよ。もう8時よ」
「そうだね」
部屋を出て鍵を閉めてホテルの外へ出る。
この街は意外と人が多くて。
ホテルの近くには沢山の飲食店があった。
「どうせ、イナズマさん達はステーキでも食べてるんじゃない?」
ステーキ屋を指さすサクラ。
「確かに」
思わず笑ってしまう。
周辺をプラプラして、それなりにお客さんが入っている洋食屋さんで食事をした後。
ホテルに戻ろうとした時だった。
「お嬢さん、可愛いね」
嫌な予感がした。
こんな感じの光景を目にするのは二度目だ。
目の前にはガラの悪い男3人組が立って、サクラをナンパし始めた。
「おいら達と一緒に飲もうよ」
ヘラヘラと笑う男たちを見て、嫌悪感しかなかった。
サクラは「やめてください」と言って通り抜けようとしたが、
男の一人が、しっかりとサクラの細い腕をつかんだ。
私は何故だか、わからないけど。
ぽかんと黙ってその光景を見ていることしかできなかった。
「あ、そっちのお嬢さんは帰っていいからね」
3人のうちの一人が陽気に言ってくる。
「ちょっとはなしてってば」
サクラが叫ぶと。
物凄い勢いでフードを被った男性が突進してきて。
男に向かって飛び蹴り…したのだが。
男が倒れた拍子にサクラも共倒れした。
「サクラ。ちょっと身体がなまってるんじゃないのかねえ」
男に向かって短剣を突き付けたのは、ヒサメさんだった。
そのすきに、後ろにいた2人の男をイナズマさんが素手で殴り倒す。
モヤさんもそうだけど。
強い・・・。
こてんぱんにやられた3人組の男は「クソがっ」と汚い言葉を吐き捨てて去っていく。
近くで心配そうに見守っていた人達が「わー」と言って拍手する。
「サクラ、大丈夫?」
サクラはよろつきながら、立ち上がった。
「まったく、おまえは本当に騎士団の人間か!」
大声で、イナズマさんが怒鳴った。
「女として生きるにしても、身体がなまりすぎてる。今から、俺と特訓だ」
「えっ」
「はっ?」
サクラと私は驚く間もなく。
イナズマさんはサクラの手を引っ張ってどこかへと消えていった。
残された私とヒサメさんは顔を見合わせる。
「とりあえず、部屋に戻ろうか」
「…そうですね」