パラダイス、虹を見て。
思えば。
みんな私のことを助けてくれる。
ヒョウさん、アラレさん、ユキさん、モヤさん。
なんやかんやで、一番助けてくれるのはヒサメさん。
優しくしてくれるのに。
自分ばかりしか考えていない自分は愚か者。
わかっていても。
どうしても、
今は、自分のことしか考えられない。
余裕がない。
「カスミちゃん。やっほー」
てっきり、今夜はユキさんが来ると思っていたので。
アラレさんが現れたときは、部屋を間違えたとではと思ってしまった。
アラレさんは、完全なるパジャマ姿で。
近くで見ると生地がなめらかで触り心地のよさそうなパジャマだった。
ぬいぐるみでも持っていたら、本当に可愛らしい感じになるんだろう。
ふにゃっとアラレさんが笑顔でベッドの前にある椅子に座った。
「初めてですね、私の部屋来るのって」
「うん。ちょっと、緊張してる」
胸を手で押さえたアラレさんが可愛らしい。
「でも、ヒョウさんに怒られなかったんですか?」
「ヒョウには黙ってきた!」
ずっとヒョウさんが私の部屋に来なかったのには理由があった。
私がヒョウさんと喋っていると、アラレさんが嫉妬して。
私がアラレさんと、ずっと喋っているとヒョウさんがちょっと嫉妬してしまうらしい。
昼間は畑仕事というのもあって割り切っているヒョウさんだけど。
流石に寝る前に2人でコソコソ話されるのは、よろしくないらしい。
「ちゃんと、ヒョウの弁解をさせておきたくて…。ごめんね、疲れてるところ」
「大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます」
ペコリと頭を下げる。
「あのね。カスミちゃん。ヒョウは悪いやつじゃないんだよ」
心配そうに言ってくれるアラレさんを見て。
わかってると頷く。
「ごめんなさい。頭が追い付いてないんです」
マシュウが現れてからすべてが地獄になった。
彼も私に対して殺したいくらい憎んでいるのは、わかる気がする。
「あの、マシュウがどうなったかって知ってますか?」
ヒョウさんはハワード家の人間について言っていたけど。
マシュウに対しては何も言ってなかった。
「マシュウって、カスミちゃんに酷い事した子?」
「そうです」
「処罰されたとは聞いてないから生きているのは間違いないと思う」
「…そうですか」
安心したけど。
アラレさんは何か言いたげな表情をしていた。
「あのね、カスミちゃん」
アラレさんは黙った。
何かを言いかけては、口を閉ざすアラレさんがもどかしい。
アラレさんが話すまで黙る。
ぴゅう…という風の音が窓を揺らす。
もう暗闇に脅える必要はないのに。
悪夢を見そうな予感はする。
「俺達は、決して綺麗な人間じゃないと思うんだ」
「え?」
急に何を言い出すかと思えば。
アラレさんが真面目に語りだすので驚く。
自身の右手と左手の指を絡めて。
アラレさんは言う。
「どっちかと言えば、悲しみの方が多い人間だと思う。ヒョウは特にそう。周りは家柄が良いとか生まれ持った能力の良さだって言うけど。努力してるほうだと思うよ」
「アラレさん?」
「悲しいっていう感情さえ捨てて生きていかなきゃいけない時もあったの。んーと、上手く言えないけどね」
「はい」
「ヒョウはね、カスミちゃんのこと大好きなんだよ」
話がよくわからなかったけど。
アラレさんが一生懸命話してくれることがわかった。
「ごめんね、お兄さんの相手が俺みたいな奴で」
「…そんな自虐的に言わないでくださいよ」
また、泣きそうになる。
ふんわりとアラレさんから良い匂いがした。
「羨ましいって思いましたよ」
アラレさんの手を握った。
「ヒョウさんとアラレさんを見ていると、本当にいいなあって思えるんです」
「男同士なのに?」
「うーん。不思議なことに、何故かアラレさんだったらアリなのかなって思うんですよね」
思ったことを正直に言うと。
ぱあ…とアラレさんの表情が明るく光りだした。
「私、誰かに愛されたかったんです」
「そうなの?」
まるで子犬のように目をキラキラとさせてアラレさんがこっちを見てくる。
「私もヒョウさんとアラレさんみたいな、お互いを思いやる素敵な恋がしたいです」
みんな私のことを助けてくれる。
ヒョウさん、アラレさん、ユキさん、モヤさん。
なんやかんやで、一番助けてくれるのはヒサメさん。
優しくしてくれるのに。
自分ばかりしか考えていない自分は愚か者。
わかっていても。
どうしても、
今は、自分のことしか考えられない。
余裕がない。
「カスミちゃん。やっほー」
てっきり、今夜はユキさんが来ると思っていたので。
アラレさんが現れたときは、部屋を間違えたとではと思ってしまった。
アラレさんは、完全なるパジャマ姿で。
近くで見ると生地がなめらかで触り心地のよさそうなパジャマだった。
ぬいぐるみでも持っていたら、本当に可愛らしい感じになるんだろう。
ふにゃっとアラレさんが笑顔でベッドの前にある椅子に座った。
「初めてですね、私の部屋来るのって」
「うん。ちょっと、緊張してる」
胸を手で押さえたアラレさんが可愛らしい。
「でも、ヒョウさんに怒られなかったんですか?」
「ヒョウには黙ってきた!」
ずっとヒョウさんが私の部屋に来なかったのには理由があった。
私がヒョウさんと喋っていると、アラレさんが嫉妬して。
私がアラレさんと、ずっと喋っているとヒョウさんがちょっと嫉妬してしまうらしい。
昼間は畑仕事というのもあって割り切っているヒョウさんだけど。
流石に寝る前に2人でコソコソ話されるのは、よろしくないらしい。
「ちゃんと、ヒョウの弁解をさせておきたくて…。ごめんね、疲れてるところ」
「大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます」
ペコリと頭を下げる。
「あのね。カスミちゃん。ヒョウは悪いやつじゃないんだよ」
心配そうに言ってくれるアラレさんを見て。
わかってると頷く。
「ごめんなさい。頭が追い付いてないんです」
マシュウが現れてからすべてが地獄になった。
彼も私に対して殺したいくらい憎んでいるのは、わかる気がする。
「あの、マシュウがどうなったかって知ってますか?」
ヒョウさんはハワード家の人間について言っていたけど。
マシュウに対しては何も言ってなかった。
「マシュウって、カスミちゃんに酷い事した子?」
「そうです」
「処罰されたとは聞いてないから生きているのは間違いないと思う」
「…そうですか」
安心したけど。
アラレさんは何か言いたげな表情をしていた。
「あのね、カスミちゃん」
アラレさんは黙った。
何かを言いかけては、口を閉ざすアラレさんがもどかしい。
アラレさんが話すまで黙る。
ぴゅう…という風の音が窓を揺らす。
もう暗闇に脅える必要はないのに。
悪夢を見そうな予感はする。
「俺達は、決して綺麗な人間じゃないと思うんだ」
「え?」
急に何を言い出すかと思えば。
アラレさんが真面目に語りだすので驚く。
自身の右手と左手の指を絡めて。
アラレさんは言う。
「どっちかと言えば、悲しみの方が多い人間だと思う。ヒョウは特にそう。周りは家柄が良いとか生まれ持った能力の良さだって言うけど。努力してるほうだと思うよ」
「アラレさん?」
「悲しいっていう感情さえ捨てて生きていかなきゃいけない時もあったの。んーと、上手く言えないけどね」
「はい」
「ヒョウはね、カスミちゃんのこと大好きなんだよ」
話がよくわからなかったけど。
アラレさんが一生懸命話してくれることがわかった。
「ごめんね、お兄さんの相手が俺みたいな奴で」
「…そんな自虐的に言わないでくださいよ」
また、泣きそうになる。
ふんわりとアラレさんから良い匂いがした。
「羨ましいって思いましたよ」
アラレさんの手を握った。
「ヒョウさんとアラレさんを見ていると、本当にいいなあって思えるんです」
「男同士なのに?」
「うーん。不思議なことに、何故かアラレさんだったらアリなのかなって思うんですよね」
思ったことを正直に言うと。
ぱあ…とアラレさんの表情が明るく光りだした。
「私、誰かに愛されたかったんです」
「そうなの?」
まるで子犬のように目をキラキラとさせてアラレさんがこっちを見てくる。
「私もヒョウさんとアラレさんみたいな、お互いを思いやる素敵な恋がしたいです」