拾われたパティシエールは愛に飢えた御曹司の無自覚な溺愛にお手上げです。
昨夜の創さんは、いつにも増して優しかったし、私の言動に一喜一憂する創さんのことが愛おしくて仕方なかった。
私のことを怖がらせたと思ってしまったらしい時には。
『……あっ、いや、別に、怖がらせるつもりはなかったんだ。勿論、菜々子が嫌なら無理強いするつもりもない。だから正直に言ってくれ』
優しい言葉で、処女である私のことを気遣ってくれたし。
いざこれからって時になって、色気の皆無な下着のことを気にして、私が中断しようとした際にも。
『これでもう何も案じることはないだろう? あぁ、心配しなくても、俺は大きくて品のない胸より、菜々子のような慎ましく可愛げのある胸の方が好きだから安心しろ』
創さんらしい言葉でもって、私のコンプレックスだった貧相な身体のこともフォローしてくれたりもした。
創さんがいつにも増して慎重だったことからも、処女である私のことを大事に気遣ってくれていたのは一目瞭然。
そしてその都度その都度、私の胸はキュンキュンとときめいて、創さんへの想いは、より一層強まっていった。
時折、これまでのような強引さがヒョッコリ顔を出したり、意地悪なことを言って羞恥を煽られもしたし。
『どうした? さっきまであんなにはずかしそうにしていたのに。そんなに身体をくねらせて、足までモゾモゾさせて、そんなに気持ちいいか?』
『……気持ちぃ……くて、おかしく……なっちゃい、そぅ』
『この俺がもっともっとよくしてやる。もっともっとよくしておかしくしてやる。他のヤツのことなんて、この俺がキレイさっぱり取っ払ってやる』
余裕なんて与えてもらえなかったから、創さんに言われた言葉を拾うことができなかったことも一度や二度じゃない。
『でも、まだまだだな。僅かな痛みも感じないようになるまで、この俺が今からたっぷりと解してやるから安心しろ』
時には、優しい声音とは真逆の、容赦のない言葉でも責め立てられることもあった。
でもそれは、
『……めいっぱい優しくするつもりだったのに、我を忘れて、手加減してやれず悪かった』
創さんのこの言葉からも分かるように、我を忘れて、私との行為に没頭してくれていたからだったようだし。
ーー創さんはやっぱりちょっと普通の人とは感覚がずれてしまっているのかもしれない。
そうは思いつつも、メチャクチャ嬉しかったーー。