拾われたパティシエールは愛に飢えた御曹司の無自覚な溺愛にお手上げです。
王子様と初めての×××
私の願いも虚しく、創さんは、どういう訳か難しい表情でしばらく黙り込んでしまっていて。
もうすっかりその気になっていた私は、それが焦れったくて焦れったくてしょうがなかった。
待てど暮らせど返事もなく、とうとう痺れを切らしてしまった私は、創さんの言葉に疑問を抱いてしまい。
『やっぱり、処女だった私に気を遣ってくれてたんですね。もしかして童貞っていうのも嘘なんじゃないですか?』
『はっ!? どうしてそうなるんだ? 分かった。これから俺が夢じゃないんだってことをたっぷりと教えてやる』
結果的には、私の言葉でいつもの調子を取り戻した創さんがその気になってくれて、めでたしめでたし。
そのまま私のことをお姫様抱っこして主寝室へと運ぼうとする創さんに、
『あの、ちょっと待ってください。その前に、お風呂に入らせてください』
そう願い出たことによって。
『なら、一緒に入ればいいじゃないか』
そんなことを事もなげに言い放った創さんのこの言葉により、私は創さんと初めてのお風呂を体験することになってしまっている。
まさかそんな事態になるとは思ってもなかったので、狼狽えた私は慌てて。
『ーーへッ!? あっ、いやいや、一人で結構ですッ!』
『まぁ、そんなに遠慮するな。刺激があった方が記憶も残りやすいだろうしなぁ』
このように、異議を唱えたのだけれどすっかりその気になってしまっている創さんに瞬時に却下されたのだった。
そればかりか、創さんによって身体を丁寧に、しかもわざわざ掌で泡立てた泡で、隅から隅まで綺麗に洗われてしまうという洗礼を受けることとなってしまい。
大きな窓から都会の煌びやかな夜景を見下ろすことのできるなんともラグジュアリーなバスルームにて。
バスタブの縁に腰掛けた創さんと、最後まで愛しあうことになり、私は呆気なくすぐに達してしまうのだった。
その時にも、終始甘やかなキスの嵐を絶えることなく吹き荒らしていた創さんに、
『……菜々子、好きだ。愛してる』
なんとも甘やかな声音で愛を囁かれ。
夢心地だった私は、このまま甘やかな心地のなかでまどろんでいたくて、クタリと力の抜けた腕で創さんの首に必死になってしがみついたまま、しばらくの間動けずにいた。
そうしてそれからも、まだ達していない創さんが達するまで、バスルームで何度も何度も愛しあい。
その後も場所を主寝室のベッドへと移ってからも、それは幾度となく繰り返され、気づいた時には既に朝を迎えていたのだった。