拾われたパティシエールは愛に飢えた御曹司の無自覚な溺愛にお手上げです。
あんまりがっかりしてしまっていたせいか、そういうのが態度にというか、表情に表れていたのかもしれない。
おそらく、いいや、絶対に。
うっかり者の私のことだから、そうだったに違いない。
黙りこくってしまった私の耳に、「ふっ」と小さな笑みを零した創さんに、
「もしかして、がっかりしてるのか?」
見事に言い当てられてしまったのだから、そうだったのだろう。
「////……ッ?」
図星をつかれ、再び真っ赤かに赤面した顔を隠したくとも、創さんにスッポリと包み込まれているせいで、顔をそうっと背後から覗かれても、逃げ場もない。
ただでさえこの至近距離にドキドキしてるっていうのに、これ以上何かされたら心臓が止まっちゃいそうだ。
それを察してか、すぐに覗くのをやめてくれた創さんに、今度はもっと強い力で抱き寄せられていた。
すると、ピッタリと背中にくっついている創さんの胸からも忙しない鼓動の振動が伝わってきて。
ーー私だけが緊張していて、余裕がない訳じゃないんだ。
自分と同じように創さんもドキドキしていることが窺えて、安堵したのか少し羞恥と緊張感が和らいだ気がする。