蜜甘同居 こじらせ中 ゾルック 二人目



「壇上に上がっても 
 雪那を見ないように頑張るよ」


「じゃあ千柳、
 雪那ちゃんとお揃いの腕時計は外したら?」


 
 俺の左腕に巻かれた腕時計は、
 雪那限定で通話ができる優れもの。

 メール機能はないけれど。



 雪那とお揃い。

 しかも、俺の宝物。

 それなのに……外す?



 いやいや
 それは危険度高すぎでしょ。


 氷牙は俺を、
 荒れまくる悪魔に化けさせたいわけ?




「氷牙、ムチャ言わないで」


「は?」


「この腕時計は、
 俺と雪那を繋ぐ唯一の連絡手段なの。
 雪那は、スマホ持ってないし」


「他の男と雪那ちゃんが繋がるのが嫌で。
 スマホ禁止令を出してるんだろ?」


「違うから。
 雪那がいらないって言ったの」


「スマホがいらない女子高生、
 この国に存在するのかよ?」


「雪那を
 そこら辺の女子高生と一緒にしないで。
 心が純白なの。妖精なの」


「メイドを特別視しすぎ。 
 高校の理事長が言うセリフじゃないな」



 学園では一応。

 全生徒と平等に接するように
 意識はしてますけど。


 それに雪那と俺との関係は、
 外部漏れ禁止だし。


 学園内で、
 雪那に話しかけたことすらないから。

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