蜜甘同居 こじらせ中 ゾルック 二人目



「僕と綺月君、
 今日も夕飯はいらないからね」


「今日のレッスンはダンス?」


「お芝居だって。
 昨日なんて、手品やらされたんだよ。
 僕にできるわけないじゃん」



「アイドルって、なんでもこなせるように
 ならなきゃダメなの?」と続けた天音君は
 
 体中の空気がなくならないか
 心配になるくらい、ため息の連続。
 


 心美ちゃんは
 ウエディングドレスの勉強に行くから、
 夕飯はお母さんと食べるって言っていたし。

 千柳様もいないし。

 今日は
 一人で夕飯を食べるのかぁ。


 寂しいなぁ。



 天音君にも負けないくらいのため息が
 私の口からもこぼれてしまう。



「せっちゃん、あのね……」


 天音君の口元が、震えだした。

 いきなりどうしたんだろう?

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