蜜甘同居 こじらせ中 ゾルック 二人目


 天音君の震える声が、
 私の頭の中を真っ黒にした。



 脳が拒絶反応を起こして、
 言葉を理解する気にさえならない。


 30秒後。

 ようやく、
 心がギューギューって痛みだした。




 あ、そういうことか。
 
 彼女ができたから
 関わらないでってことか。



 そうだよね。

 千柳様の世界には
 好きな人しか入り込めなくて。

 メイドですらない私なんて、
 邪魔なだけだよね。




 心美ちゃんにしか伝えていないけれど。

『私が千柳様を好き』って
 天音君はわかっているんだろうな。


 私の代わりに
 苦しみに耐えてくれているの?

 そう思えるほど、天音君は
 痛々しく唇を噛みしめている。



 天音君にいつも通り笑ってほしくて、
 私は無理やり声を跳ね上げた。

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