蜜甘同居 こじらせ中 ゾルック 二人目


 二人を前にしてオロオロするだけの私。

 『平穏に』という願いは、全然届かない。



「雪那は今日、俺の作った弁当を食ったし」


「それが何ですか?
 今日の朝、僕が作ったサラダを、
 せっちゃんが食べましたけど」


「雪那と一緒に住んでるのかよ?」


「そうですけど。何か?」


「雪那はオマエの彼女?」


「違いますよ。さっき僕、
『友達』って言いましたよね?」


「言ってたけどさ……」


「僕が好きになる子は、
 女のことは限りませんから。
 紫髪で目つき悪すぎな暴走族は、
 勘弁ですけど」


「俺、族に入ってねぇし」


「それに僕、
 一生、誰とも付き合わないって
 決めていますので」



「あっそ」と言いながら、
 そっぽを向いた万里先輩。


 惑わし王子、天音君の魔法に
 掛けられたのか……

 万里先輩の怒りが
 薄らいでいくのがわかる。

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