蜜甘同居 こじらせ中 ゾルック 二人目


 完全鎮火まで
 あと少しだったのに。



 怒りの導火線に、再び
 火をつけるかのように

 天音君が私に、
 王子様級の透明ボイスをふりかけた。



「せっちゃん、大丈夫?」


「何が?」


「この不良先輩に殴られてない?」



 これには
 即反応した万里先輩。



「俺は、女に手なんか出さねぇよ!」と
 天音君に詰めよっている。



 でも天音君は、それを交わし

 私の両腕に手を置いた。




「言いなりになれって、脅されたりは?」



「だから俺、そんなことしねぇから」



「僕はせっちゃんに聞いてるんです!
 せっちゃんの体は、拒否反応出てない?
 蕁麻疹とか?」


「出てないけど……」


「それなら、害はなさそうだね」




 いきなり晴れたように
 ゆるっと微笑んだ天音君。


「せっちゃんを泣かせたら、許しませんからね」



 そう言い残して、
 天音君は何事もなかったかのように
 帰っていった。

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