俺を困らせるのはいつだってお前でいい。
詩優side
詩優side
「なんもねぇとこで転けるか?普通。」
「うるっさいなぁ。
あんなところに石が落ちてるのが悪い!」
「は?石?んなもんねぇよ。」
と言いながらも
呆れ顔で手を引いて立たせてくれた颯瀬。
...あーあ。またバカ扱いされる。
揺れる茶髪に筋の通った鼻。
色素の薄い大きな瞳。
そして白いシャツからほんのり香る
颯瀬の匂い...
***
颯瀬は中学の同級生。
この頃から
街では割と有名な"ヤンチャな男子"だった。
見た目が他の男子より少しかっこいいと言うだけで
他校の女子からもモテモテだった。
学校はサボったり、たまに来たり。
授業中はほとんど寝ている所しか見たことが無かった。
それなのに先生達に好かれていて
その理由はスポーツ万能で成績優秀。
私より断っ然頭が良くて
よく
『お前、こんなんも解けねぇの?
毎日クソ真面目に学校来て何勉強してんだよ。バーカ」
と言われたものだ。
特に学校では問題は起こさないけど
こんな颯瀬を妬む先輩たちも中にはいる。
しかし倍返しで返り討ちにしてしまう為
颯瀬に喧嘩を申し込む者はいなくなった。
時々、他校のヤンキー達と喧嘩をしたと言う噂を聞いても
顔に切り傷一つ付いている所を見たことが無い。
そんな颯瀬は何かと私を助けてくれた。
例えば、中学1年のとき。
当時、鬼教官と呼ばれ恐れられていた体育の先生に
体操服を忘れたことを自白する為、
真っ青な顔で職員室前に立っていた。
...やばいよ、やばいよ。
連帯責任で腕立て50回、外出10周確実だよ。
みんなに申し訳ない、絶対恨まれる。呪われる...
と震えていた私に
『誰待ち?』と声をかけてきた颯瀬。
『北野先生(鬼教官)...。
体操服、忘れちゃったんだよね...。』
『ふっ。相変わらずだっせーな。』
『は、鼻で笑うな!!
連帯責任でみんなに迷惑かけちゃうよ。ほんっと最悪...』
と俯く私に
『俺、今から昼飯食って来るから。』
『え。』
『腹減った。』
『まだ3時間目だよ?』
と言う私の頭の上に
体操服をのせると大きな背中を見せつけながら
風のように去って行った。
その後私は颯瀬の体操服を借りて
授業を受けたわけだけど、
颯瀬ファンからはかなり冷たい視線を
浴びせられたのは言うまでも無い。
私にはかなり大きかった体操服は
優しい匂いがした。
***
「おーーい!お二人さーん」
こちらに手を大きく振っているのは
颯瀬と仲の良いコタロー君だ。
「良い雰囲気の中申し訳ないんだけどー!」
...いや!どこが!
颯瀬の顔を見るとほとんど真顔だった。
コタロー君はにっこり微笑んで
「2人とも遅刻だってさー!」
コタロー君の笑顔とは裏腹、
横に佇む菊川先生は腕を組み
眉間に皺を寄せ、静かに頷いている。
「なんで俺まで!」
「だって門の外じゃん。」
「お前のせいだろ!」
「なんで私のせいなのよ!」
「お前がそそっかしいからだよ!バーカ!」
グダグダ言い合いをしながら門に向かうと
「ほんと、仲良いよね〜。」と笑うコタロー君。
「どこが。コイツのせいで俺まで遅刻かよ。
こっちは朝から蹴っ飛ばされて家出されて、メシも食ってねぇのによ!」
「私も朝ごはん食べ損ねた。」
とお腹を鳴らす私たちに
「さっき集まってた女の子達の1人が颯瀬君にこれ〜って」
コタロー君が手渡したのは可愛いらしいお弁当箱。
「まじ、ラッキー。」
「え!私も食べたい!ちょうだい!」
「やるわけねぇだろ!」
「お願い!卵焼きだけでも...」
「お前だけには、ぜってぇやらねえ!!」
「なんもねぇとこで転けるか?普通。」
「うるっさいなぁ。
あんなところに石が落ちてるのが悪い!」
「は?石?んなもんねぇよ。」
と言いながらも
呆れ顔で手を引いて立たせてくれた颯瀬。
...あーあ。またバカ扱いされる。
揺れる茶髪に筋の通った鼻。
色素の薄い大きな瞳。
そして白いシャツからほんのり香る
颯瀬の匂い...
***
颯瀬は中学の同級生。
この頃から
街では割と有名な"ヤンチャな男子"だった。
見た目が他の男子より少しかっこいいと言うだけで
他校の女子からもモテモテだった。
学校はサボったり、たまに来たり。
授業中はほとんど寝ている所しか見たことが無かった。
それなのに先生達に好かれていて
その理由はスポーツ万能で成績優秀。
私より断っ然頭が良くて
よく
『お前、こんなんも解けねぇの?
毎日クソ真面目に学校来て何勉強してんだよ。バーカ」
と言われたものだ。
特に学校では問題は起こさないけど
こんな颯瀬を妬む先輩たちも中にはいる。
しかし倍返しで返り討ちにしてしまう為
颯瀬に喧嘩を申し込む者はいなくなった。
時々、他校のヤンキー達と喧嘩をしたと言う噂を聞いても
顔に切り傷一つ付いている所を見たことが無い。
そんな颯瀬は何かと私を助けてくれた。
例えば、中学1年のとき。
当時、鬼教官と呼ばれ恐れられていた体育の先生に
体操服を忘れたことを自白する為、
真っ青な顔で職員室前に立っていた。
...やばいよ、やばいよ。
連帯責任で腕立て50回、外出10周確実だよ。
みんなに申し訳ない、絶対恨まれる。呪われる...
と震えていた私に
『誰待ち?』と声をかけてきた颯瀬。
『北野先生(鬼教官)...。
体操服、忘れちゃったんだよね...。』
『ふっ。相変わらずだっせーな。』
『は、鼻で笑うな!!
連帯責任でみんなに迷惑かけちゃうよ。ほんっと最悪...』
と俯く私に
『俺、今から昼飯食って来るから。』
『え。』
『腹減った。』
『まだ3時間目だよ?』
と言う私の頭の上に
体操服をのせると大きな背中を見せつけながら
風のように去って行った。
その後私は颯瀬の体操服を借りて
授業を受けたわけだけど、
颯瀬ファンからはかなり冷たい視線を
浴びせられたのは言うまでも無い。
私にはかなり大きかった体操服は
優しい匂いがした。
***
「おーーい!お二人さーん」
こちらに手を大きく振っているのは
颯瀬と仲の良いコタロー君だ。
「良い雰囲気の中申し訳ないんだけどー!」
...いや!どこが!
颯瀬の顔を見るとほとんど真顔だった。
コタロー君はにっこり微笑んで
「2人とも遅刻だってさー!」
コタロー君の笑顔とは裏腹、
横に佇む菊川先生は腕を組み
眉間に皺を寄せ、静かに頷いている。
「なんで俺まで!」
「だって門の外じゃん。」
「お前のせいだろ!」
「なんで私のせいなのよ!」
「お前がそそっかしいからだよ!バーカ!」
グダグダ言い合いをしながら門に向かうと
「ほんと、仲良いよね〜。」と笑うコタロー君。
「どこが。コイツのせいで俺まで遅刻かよ。
こっちは朝から蹴っ飛ばされて家出されて、メシも食ってねぇのによ!」
「私も朝ごはん食べ損ねた。」
とお腹を鳴らす私たちに
「さっき集まってた女の子達の1人が颯瀬君にこれ〜って」
コタロー君が手渡したのは可愛いらしいお弁当箱。
「まじ、ラッキー。」
「え!私も食べたい!ちょうだい!」
「やるわけねぇだろ!」
「お願い!卵焼きだけでも...」
「お前だけには、ぜってぇやらねえ!!」