虹・コルスト
 それは暑い夏での事。コルストは泣いていた。名を、虹・コルスト。  
 年齢は二十歳。それは七色の瞳をしていてー、髪は、白髪だったー。美しいコルストの、消えてしまう迄の話ー。
 それは虹の様だったー。
 閻魔大王ー、因業の無い俺です。
 閻魔大王ー、自傷他傷ゼロの俺です。
 閻魔大王ー、俺だけを愛して下さいー。
 黒髪、その長い淑やかさにも、もう惚れたんで、俺を消して、虹の神の座を下ろして下さいー。七色の瞳の祖、それはエンジェル一等美の証ー。
 自傷他傷ゼロ、それは因業ゼロの証ー。神コルストは、虹の美しさには辟易だったそうだ。消えた理由ー、美し過ぎる女が良かったー、俺は女になりたい男なんだよ。
 虹はコルストにとって女だった。愛して、そう言うと答えなかった。
 口付けを果たそうと空を駆けた。そこできっと柄杓座迄飛んで行って果てた。懐かしいねロウ、思うんだ。
 俺、結構あんたの事好きだよ。大きいコルストは、可愛い女を殺してしまうんでは無いかと泣いた事があった。
 思うんだ。いつかきっと耐えられないって。
 思うんだ。泣いても死んで仕舞う日が神でも来るよね。泣いて、それもまた虹になっては消えた。
 コルストは死んで消えて長い。今やもう、いない神、最後に、閻魔大王に文句を言うと決めていた。
 全てに於いて大した事ない俺、本当にバカだったよ。実は閻魔大王の妾に好きな女がいたと言った。
 叶わないわよと言われた。それに託けて因業処を狙った。
 妾の男を処したいと嘯いたコルストを見る男も、女もいなかった。美しいと言っても、コルスト如きではね。
 みなそう言ってコルストは泣いた。もう、戻れないよ、柄杓座迄。そう言ってロウを抱きに旅した。
 コルストは飛ばされて行ってー、掻き消され二度とヒトの目に入る事は無かった。死んだコルストは、閻魔大王の対になりたいと言っていた。叶わないね!そう美声が天に轟き、嘘の世界は潰えたー。
 虹の世界何て、嘘だったのよー!もう、俺戻れないや。
 非力な美貌王虹・コルストの生涯ー、儚くも、二十歳であった。本当に愛した女もいねえ。そう託けてあったそうだ。
 今や虹の神は全ての男神に出来る様になっていて、その美しさも美しい男であったら出来る様に閻魔大王がしたそうだ。
 何と、コルストは死ぬ前に閻魔大王がコルストだけを愛するジバを勝手に建立していたそうだ。それを愚痴らなかった閻魔大王、本当に憎いね。最後にそう溢した。
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