花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く
半年前だったか、それくらいに。スマホを替えて引き継ぎがうまくできなかったのか、それとも意図的にメッセージアプリを消してしまったのか。
真意を確かめる術もなく、俺はここ半年ほど西さんと連絡を取ることができないでいた。
「葵ちゃーん、お風呂湧いたよー」
「はーい。今行くーー」
下から呼ばれ、着替えを持って風呂へダッシュする。最近、毎日お湯につかりながら行方をくらませた彼女のことを考えている。答えが出るはずもないんだけど、やめられない。
居間に置いてある花のせいで、俺は西さんのことを忘れられずにいる。
あの花が、俺の記憶から西さんが消えることを許してくれない。