花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く

 地域のサッカーチームでキャプテンをしていた俺は、品のない野蛮な子と言われて祖母から疎まれ、加えて父さんが得意としているシンプルな作品が好きだということで、今はほとんど存在しないものとして扱われている。

 俺の代わりに妹のひまりが毎日毎日祖母から怒鳴られながら、祖母が心酔している、必要以上に花自体に手を加える華道をたたきこまれている。

 正直、祖母がこの家を没落させたといっても過言ではない。曾祖父が家の長をしていた頃はその類まれなる才能で様々な人から尊敬のまなざしを向けられていたが、祖母が家を継いでから、宗谷の華道は終わりを迎えたと各所から言われているらしい。

 あまりにも曾祖父の力が強すぎて、それが今でも尾を引いている。実際はそんなところだ。ただ、周囲の人があまりにもうまく祖母をその事実から遠ざけるから、彼女がそれに気付けていないだけである。


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