花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く

 「お前と西さんはお似合いじゃない」

 「ケンカ売ってんのか」

 「おう」

 「買ってやろうじゃねぇか」


 丸めた拳で頭をぽこんと殴られる。その腕を掴んだとき、俺たちの名前が大声で呼ばれた。


 「おい!! 栗原、宗谷!! うるせぇ!!」


 おおっとぉ。雷直撃。

 さっきまでツンと澄ました顔をしていた担任の眉が吊り上がっている。

 2組名物、担任の雷。

 怒られた栗ちゃんは「怒られたー」と言ってのんきに笑っている。こういうところ神経太いから、栗ちゃんは理不尽と名高いバスケ部でも腐らずにやっていけてるんだろう。


 「宗谷、聞いてんのか?」

 「はっ、はいぃっ?」

 「聞いてなかったんだな。お前はほんと勉強はできるのにいつまでたってもガキみたいなことして、」


 うんたらかんたら……。

 ひとしきり説教が終わると、1限の準備をするために先生が引き上げていった。

 他の人を巻きこんでしまったことに対して、クラス全員に向けて謝っておく。男子からは擁護の声が上がったけれど、女子には怒られてしまった。といっても、ほんの冗談のように笑いながら責められただけだけれども。


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