花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く
「葵くん、今日私病院に行かないといけないんだ」
「オッケー分かった。栗ちゃん今日は部活オフだし、あいつと帰るわ」
「うん。またね」
「おう。また明日」
掃除リーダーの証である、大きなモップを持って教室の掃き掃除をする西さんに手を振って栗ちゃんのもとへ駆け寄る。2年の階にやってきたバスケ部の後輩と話している栗ちゃんに背後から思いっきり抱き着く。
「うおっ、なんだ、今日は西さんと一緒じゃねーの?」
「うん。今日は栗ちゃんと帰る」
あぁこいつはオレの友だちの宗谷な、と栗ちゃんが俺の頭を撫でながら後輩に紹介する。礼儀正しい後輩は少し改まって自己紹介をしてくれた。
「おう、よろしく。栗ちゃんにいじめられてねぇか?」
「大丈夫です! 大成(たいせい)さんは先輩の中で一番優しいんです!」
「ほんとかよ」
「ほんとですよ! 俺たちみんな大成さんのことが好きです!」
お世辞がうまい後輩だな、というと眉間に皺を寄せた栗ちゃんに、少し強めに頭を殴られた。