花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く
中間テストが近くなってきて、教室中に教科書や参考書が散らばるようになってきた。
俺は日頃から予習復習を欠かさずにするようにしているから、テスト前に少し見直しをするくらいで済んでいる。
「なぁ葵。オレ、人間テストの点以上に大切なことがあると思うんだよ。なぁ、お前に心があるならわかってくれるだろ」
「うるせぇ。びーびー言ってねぇでさっさと解きやがれ」
目の前で腕を組みながら白紙の問題用紙をにらみつける栗ちゃんに雑な言葉を投げかける。
ペンすら持たない、いや、持てないといった方が適切か。
「はぁぁぁぁぁ……」
数学の授業は自習時間へと姿を変えた。先生のつまらない授業を聞く代わりに、俺たちには一枚のプリントが渡されてそれを解いた者から各自好きな科目を勉強していいということになったのだ。
俺の手元には英語の単語帳がある。つまりはそういうことだ。
「お前の解答を見せてくれたら、オレは課題から解放される、お前はオレの面倒をみなくていい。一石二鳥だろ?」
「俺は栗ちゃんのことがだぁぁぁぁぁい好きなんだよ……お前が赤点を取って部活ができなくなって補習課題がわからないって俺に泣きついてくるとこなんか見たくないんだよ、な? わかってくれよ」
何度こいつの補習課題を俺が解いたことか。
赤点ギリギリでも良いからクリアしてほしいっていうのが友心ってやつだろ。