花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く
「葵くん、今日どうしたの」
放課後、なんとなく保健室に行く気になれなくて教室でゆっくりと掃除をしていたら西さんに呼ばれた。モップをかける手が止まる。
「どうもしてないよ。いつも通りの俺です!」
「そう? ならいいんだけど」
教室に来るようになってから、西さんは輝いている。比喩でもなんでもなく、本当に。笑顔に覇気が出てきた。
「それ終わったら保健室来てね。先に行って待ってるから」
「あー……うん。わかった」
待っていると言われたら、行かないといけないだろう。
これ以上彼女と一緒にいるとボロを出してしまいそうで、少し怖い。
「宗谷ぁ、はやくモップかけてくれー」
「あ、ごめんごめん」
ぼーっとしていると、机運搬係に急かされてしまった。