花が咲いたら恋に落ち、花が落ちたら愛が咲く
物事なんでも、失ってからその大切さに気付く。
なくしてから、それがないといけないものだったことを知る。
それが自分の心の支えになっていたことを知る。
いつもと同じ部屋のはずなのに、やけに暑く感じた。
帰りに、近所の家の人が打ち水をしていた。
「涼しくなるのよ」と子どものころに言われて、これまでその効果はこの身をもって体験することはできなかった。
濡れてしまった枕が、いつの間にか冷たくなっている。
濡れては冷えて、また涙で熱くなる。
ひとしきり涙を流し終えると、脱力感に包まれて、そのまま意識を手放してしまった。