カラフル☆デイズ

口元を覆っていたあさ兄の手が顎へと移動し、そこに探る様な目つきまで加わると、まるで探偵の様に見える。


内心たじろぎながら、「……まぁ、うん」と返す。


とても、『私です』なんて、言えない。


言ったら言ったで、次は、誰に名前を呼ばれてドキドキしたのか、その尋問が始まるだろうから。


「その様子だと、静夜じゃないよな?誰?」


『私です』


とは言えず黙ったままでいる所為で、あさ兄は、私が今みたく誰か他の男の名前を呼んで、その人をドキドキさせたと勘違いし始めている様だ。


「どこの誰?俺や静夜の知ってる人?」


「それより!あさ兄は何で、私が名前を呼んだだけでドキドキしたの?」


あさ兄の質問には答えずに、私が知りたかった実験結果について問い返した。


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