カラフル☆デイズ
あさ兄は、無自覚だから困る。
「あさ兄には、関係ないでしょ……」
たまに、こうして無自覚に大人な雰囲気を醸し出すから、時折、あさ兄がまるで私の知らない人みたいに見えて、困る。
変態だって判ってるのに、ちょっとだけ格好良く見えちゃうから、困る。
「関係なくなんかないんだけど……。まぁ、せめてまひるはもう少し、自分が可愛いってこと自覚してくれ」
「可愛くなんてないもん」
ただそこにいるだけで人目を惹くあさ兄や、独特の雰囲気を放つセイ兄と違って、私は自分が平凡なことくらい、ちゃんと自覚している。
卑屈じゃなく、事実だと思うからそう言ったのに。
「可愛いよ。まひるは可愛い。さっきの濁点のついた悲鳴すら、すごく可愛かった」
先輩みたいに嫌味じゃなくて、本気でそう思ってくれているらしい身内贔屓のあさ兄が、蜂蜜よりも甘い笑みを浮かべる。
どう見てもズレてるあさ兄を恥ずかしいと思う反面、それでも嫌いになれなくて、むしろその逆に思えてしまうから、ほんと困る。