カラフル☆デイズ

まさか先輩に会えるだなんて思ってもいなくて、偶然の幸運に、セイ兄に長時間待たされた不満が、現金にも途端に吹き飛んでしまった。


「み――」


深月先輩っ!って名前を呼んで、側に駆け寄ろうとしたけれど――。


「まひる?」


ちょうど教室から出てきたセイ兄が、目敏(めざと)く私を見つけて少し驚き、「昇降口で、って言ったよな?」と、訊ねてきた。


セイ兄の声で深月先輩も私に気付いた様で、一瞬だけ目が合う。


嬉しくてもっと見ていたかったけれど、ここで先輩との関係をセイ兄にバレる訳にはいかなくて、すぐに私から目を逸らした。


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