カラフル☆デイズ
深月先輩からは何も返ってこなかったけれど、一瞬顔を見れただけでも満足で、自然と緩む口元を必死に固く引き結ぶ。
「何で、アイツに挨拶してんだよ」
思いっきり不機嫌さを露わにするセイ兄は、歩く歩調まで心なしか速まっている。
「だって、一応先輩なんだし無視するのはよくないでしょう?」
「別にまひるとは関わりのないヤツなんだし、これからはシカトでいいから」
「……セイ兄と仲が悪いの?」
「仲が悪いっていうか、嫌い」
どうして?って訊きたかったけれど、嫌いと言ったセイ兄の口調からは、もはや嫌悪感どころか、感情の片鱗すら見えなくて。
そんな、いつもとは違うセイ兄の雰囲気に呑まれて、それ以上訊くことが出来なかった。