カラフル☆デイズ

クレープ屋さんに着くと、周囲には甘い匂いが漂っていて、それだけで幸せな気分になる。


クレープの種類は豊富で、しかも、どれも美味しそうで、この中から一つだけ選ぶのはすごく迷ってしまう。


今日のデートで、先輩と一緒に行きたい場所を決めるのに悩んだ時と同じレベルで迷う。


――や、あの時ほどじゃないか。


「いちごカスタードも捨てがたいけど……ここはやっぱり――」


王道のチョコバナナと生クリームの組み合わせのクレープを一つ注文した。


深月先輩は女の人ばかりで居心地が悪いらしく、そんなに食べたくもないって言うから、少し離れた場所にあるベンチに座ってもらっている。


その姿が、クレープの出来上がりを待つこの場所からも見えた。


こっちとは反対の方を見つめている横顔。


以前見掛けた時の様に、どこか遠くを見つめるその表情は、心ここに在らずって感じだ。


もしかして、つまらないのかな?


CDショップもクレープ屋さんも私が来たかっただけで、深月先輩は特別興味がある訳でもないんだから、それも当然だけど。


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